大量増備された3次車以降とは異なり、リニューアルの対象から外されていると推測される3000形の初期車。
ドアの幅がやや広い1次車と、車体はほぼ同様ながらも、足回り等が3次車以降とは異なる2次車がそれにあたりますが、最近になって細かい動きが出てきています。

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今までは外側の変化が中心でしたが、3259Fの車内にあるLED表示器が交換されました。
車内の案内表示は液晶画面が主流になる中、あえてLED表示のままで交換したことは、いったい何を意味しているのでしょうか。

交換された3259Fの車内LED表示器

小田急における通勤型車両の流れを大きく変え、過去になかったほどの大量増備となった3000形ですが、初期段階の導入ペースは緩やかなものでした。
その時期に増備されたのが1次車と2次車で、3次車以降とは各部の仕様が異なる6両が12編成在籍しています。

3000形は4次車から車内の案内表示装置に液晶画面を採用しましたが、3次車まではLEDスクロール式となっています。
3次車はリニューアルの際に液晶画面への交換を行っていますが、2次車まではそのままとされていました。
そんな中、3259FにおいてLEDスクロール式のまま交換が行われたようで、3色からフルカラーに変更されています。

フルカラーになったとはいっても、性能を最大活用した表示はされておらず、基本の文字色を白にしつつも、使用される色自体は3色のままとなっています。
LEDの表示器だけを交換し、他は従来のままになっていると思われますが、3000形に新しいパターンが登場したことになります。
なぜフルカラーのLED表示器を用いたのかは不明ですが、コスト面で差がないといった可能性や、文字を白にして視認性を高めたかった等の理由が考えられそうです。

LED表示器の交換が意味すること

やや中途半端にも感じる機器の交換ですが、LED表示器は車外と同じく車内にあるものも劣化するため、予防保全としての意味合いが強そうです。
過去には1000形のワイドドア車も同様のことをしており、サイズが小さいまま交換されるといったことがありました。

リニューアルを行った編成が液晶画面化されているのに対して、3259FではLEDスクロール式のままとされましたが、影響範囲を最小限にすることで、コストを抑えたものと思われます。
つまり、そのままとはしておけないが、今後の使用年数を考えた最小限の投資が行われたといえるでしょう。

このような動きは、やはり2次車までの編成はリニューアルを行わず、引退まで大きく手を入れないということを、暗に示唆しているといえます。
一方で、このあたりの機器を交換しているということは、あと10年程度は使う可能性が高くなったともいえるため、今後の車両計画を予測するヒントにもなりそうです。

おわりに

3000形の初期車は、登場から20年を超えたあたりの車齢となっています。
未更新の1000形が引退した時期を踏まえると、30年を少し超えた程度での廃車を見据えているのかもしれませんね。