現在は3形式が活躍し、箱根を中心とした観光輸送や、通勤や通学といった、日常の足としても利用されている小田急のロマンスカー。
運用上はある程度列車によって使われる車両が決まっていますが、日によって違う列車があったりもするため、狙っている車両に必ず乗れるとは限りません。

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狙いたいといえば、前面展望席を備える車両が浮かびますが、日常の利用においてはコンセントの有無も一つの要素となります。
現状は車両によって有無が異なりますが、その内訳はどうなっているのでしょうか。

コンセントが設置されているロマンスカー

ほとんどの方がスマートフォンを持つようになり、移動中に何らかの電子機器を触る方が多くなりました。
セキュリティー上の問題はあるにせよ、電車内でパソコンを使用して仕事をする方もいるため、ロマンスカーにはコンセントが設置された車両が登場しています。

座席におけるコンセントの需要は昔よりも高まっていますが、現状は設置されている車両が限られているため、乗る車両によって有無が異なる状況です。
まずは設置状況を確認してみることにしましょう。

以下は編成によるコンセントの有無をまとめたもので、形式ごとに編成単位で一覧化しました。

【30000形(EXE・EXEα)】
30051F:なし
30052F:あり
30053F:あり
30054F:あり
30055F:なし
30056F:あり
30057F:なし
30251F:なし
30252F:あり
30253F:あり
30254F:あり
30255F:なし
30256F:あり
30257F:なし

【60000形(MSE)】
60051F:なし
60052F:なし
60053F:なし
60251F:なし
60252F:なし
60253F:なし
60254F:なし
60255F:なし

【70000形(GSE)】
70051F:あり
70052F:あり

結果はこのようになっており、全24編成中の9編成に設置されている状況となっています。
設置率にすると37.5%になるため、3本に1本程度はコンセントがある状態といえるでしょう。

簡単にはできないコンセントの追設

需要はあるのに設置率が上がらないコンセントですが、それには簡単に設置できない事情が関係しています。
設置されている車両についても、形式や編成ごとに違いがある状況で、そのあたりを補足していきたいと思います。

まず、形式単位で判定できるのが、全編成にコンセントがないMSEと、コンセントがあるGSEです。
GSEは各座席にコンセントが設置されているほか、テーブルも大きいので現代仕様といえるでしょう。

ややこしいのはEXEとEXEαの関係で、コンセントがないEXEというのは簡単に分かりますが、EXEαは4両と6両の第1編成のみコンセントがないため、編成によって仕様が異なります。
また、GSEとは異なりコンセントが壁にあるため、窓側に他人が着席している場合には、基本的に通路側の方はコンセントを使うことができません。

コンセントがある車両を増やしてほしいとは思うものの、追設の場合は車内の化粧板等を外すといった大きな工事となり、EXEαもリニューアルの際に設置を行いました。
電源の確保という面での課題もあるようで、そう簡単にはできないというのが実状のようです。
最初にリニューアルを行った第1編成についても、追設は大変な工事となるためか、そのままとなっています。



少し前の記事になりますが、「小田急電鉄 40年の軌跡」に関わった際にご一緒した井上孝司氏が、車内におけるコンセント事情についての記事を書かれていますので、詳しく知りたい方は是非ご覧下さい。

見栄えを全く気にしなければ、外側に配管等を露出させて設置できなくはないのでしょうが、ロマンスカーという車両の性格上、なかなかそうもいかないのでしょう。
今後も追設はリニューアルのタイミングとなりそうですから、MSEはそれ自体をするかしないかに左右されそうです。

おわりに

特急型車両とはいえ、車内でコンセントを使いたくなる時代になっていることに、やや驚く面もあります。
最近は通勤型車両にも設置されるケースが出てきており、サービスとしての需要も高まってきているのでしょうね。