現代の小田急においては当たり前となり、在籍する全車両に採用されている暖色系の車内配色。
元々は1000形の登場時に本格採用されたもので、寒色系が主流だった従来の車両からは大きく変化しました。

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そんな暖色系の車内配色ですが、歴史を変えた車両といえば8000形と9000形も当てはまります。
本格採用した1000形とは異なる、2形式の過去を振り返ります。

小田急における暖色系の車内配色

昭和の時代における小田急の車内配色といえば、薄めの緑を基調として、座席を濃紺とした寒色系が基本でした。
国鉄の103系等に似た配色で、冬の悪天候時等にはやたらと寒く感じたものですが、今となってはよい思い出です。

冷房がなかったことや、混雑時のことを考慮しての寒色系だったのだと思いますが、冷房車が当たり前になってくる昭和の終わり頃から、全国的に暖色系の車内を採用する車両が増えてきます。
小田急についても例外ではなく、1987年に登場した1000形以降の形式は、基本的に暖色系の車内配色を採用するようになりました。

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暖色系の配色を採用した1000形の車内はこのようになっており、座席がオリジナルの状態を保っていた頃に撮影した写真です。
ドアに化粧板が貼られたこともあり、従来車とはかなり印象が異なる車両だったのを思い出します。
その後の車両も基本的には暖色系の車内配色とされ、最新型の5000形まで続いてきました。

車内配色の歴史を変えた8000形と9000形

暖色系の車内配色を本格的に採用したのは1000形ですが、他にも大切な役割を果たした車両があります。
8000形と9000形がそれにあたり、その後に繋がるターニングポイントとなりました。

1982年に最初の編成が登場した8000形は、寒色系の車内配色を採用しつつも、化粧板に柄が入るという変化が生じます。
近年は無地に戻る傾向もありますが、小田急において車内配色が変化するきっかけとなる車両でした。

その8000形において、最終増備のグループでは車内配色に大きな変更が加えられ、4両の8064Fから8066Fと、6両の8266Fが暖色系を採用して登場しました。
ドアに化粧板が貼られてないこと以外は、後に登場する1000形によく似ていましたが、色調は少し異なっていたように思います。

新造車で暖色系の車内配色を採用するようになった小田急ですが、従来車をリニューアルする際には寒色系を踏襲していました。
5000形と9000形の4両がそれにあたり、化粧板に柄が入るといった変化はあったものの、寒色系に分類される配色となっています。

その状況に変化をもたらしたのは9000形の6両で、リニューアルの際に暖色系の車内配色を採用し、ドアや座席の袖仕切り以外は1000形のイメージに近くなりました。
配色についても1000形と同様だったため、新型車両のイメージに近付ける意図を強く感じたものです。

おわりに

9000形以降のリニューアルでは、暖色系へと変わることが基本になり、5000形の6両、8000形においても同様で、最終的には小田急線上から寒色系の車内配色は消滅しました。
1000形をリニューアルした際には、明るいブルーの座席を採用するといった変化もありましたが、今後も暖色系を基本とする方針が続いていくのでしょうね。