小田原駅から1駅の位置関係にあり、足柄電留線を併設している小田急の足柄駅。
各駅停車しか停まらない駅ながら重要な役割を担っており、構内も広々しています。

そんな足柄駅ですが、かつては日本専売公社の小田原工場に向かう専用線が繋がっており、タバコ等を輸送するため小田急の貨物列車が走っていました。
廃止から40年が経過していますが、跡地はどうなっているのでしょうか。

名残さえ消えつつある専用線の跡地

今となっては信じられませんが、かつての足柄駅には日本専売公社の専用線が繋がり、日常的に貨物列車が運行されていました。
駅から1kmほどの場所には、日本専売公社の小田原工場があり、専用線はそこで製造されたタバコ等の輸送に使われていたものです。

他の貨物輸送と同様に、トラック輸送への切り替えが行われた結果、1984年に専用線は廃止されました。
廃止後も架線柱が長く残るといった状況でしたが、近年はそれらも撤去されてしまっており、名残も大部分は消えてしまっています。

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足柄電留線の隣には、細長い空き地のような空間が広がっていますが、この場所が専用線のスタート位置でした。
廃止後も架線柱等が残ったままでしたが、2015年に撤去されてしまったようです。

現在は遊歩道のようになっており、舗装されてはいますが、周囲は雑草が生い茂る状態となっています。
歩けるならばということで、工場があった方向に進んでいきましょう。

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道路と交わる場所に出ると、専用線があったことを物語る柵を発見しました。
小田急の沿線にもありますが、古レールを使用した歴史のある柵で、専用線の存在を知らなければ不思議な光景です。

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さらに先へ進むと、今度はきちんと整備された遊歩道になっています。
跡地を小田原市が譲り受け、久野緑の小径として整備したもので、住宅の間をカーブしながら進む廃線跡らしい風景です。

遊歩道は工場の跡地まで繋がっていますが、訪ねた日は命の危険を感じる猛暑だったので、ここから先に進むのは断念しました。
涼しい時期に再訪してみたいと思います。

小田急に移籍したデキ1050形

遊歩道を途中で引き返してしまったため、専用線に関係する電気機関車について触れてみることにします。
日本専売公社の専用線では、入れ換え用として電気機関車が導入されましたが、小田急に運行が委託されたことに伴い、1959年に移籍しました。

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写真提供:小田急指令掛川

小田急ではデキ1050形を名乗り、1両だけの小さな電気機関車として、相武台工場や大野工場で入れ換え用に使われました。
2000年代に後継車両へと役目を譲り、残念ながら廃車となっています。



写真を提供いただいた小田急指令掛川様は、数々の貴重な映像も撮影されています。
YouTubeにて公開中ですので、よろしければそちらもご覧下さい。

おわりに

専用線が廃止されてから40年が経過し、名残はほぼ消えてしまいましたが、遊歩道はこれからも存在し続けるとみられます。
地図を見るとそこが線路だったことは一目瞭然で、過去の歴史を今に伝えているといえそうです。