複数の編成を繋ぐ機会が減少し、小田急では装備する車両が減りつつある電気連結器。
通勤型車両は二段式の電気連結器を付けることが標準となり、やや賑やかな先頭車が印象的です。

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そんな小田急における電気連結器ですが、元々子電連を装備して登場した車両は少なく、後に増設を行ってきた歴史があります。
各車両にある子電連は、どのような流れで増設されてきたのでしょうか。

元々は子電連がなかった3000形

現在も活躍する小田急の通勤型車両には、併結を行う可能性がある車両にのみ、電気連結器が装備されています。
対象となる車両は8000形、1000形、3000形の3形式で、96芯の下に36芯の子電連を設置した状態です。

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小田急の車両において、新造時から電気連結器が二段式となったのは3000形ですが、それ自体は増備途中からの仕様変更でした。
元々は96芯の電気連結器のみを装備して登場しており、3262Fまでの編成はスカートの形状も異なっていました。

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3次車以降の編成は、登場当初から子電連の取り付けを考慮したスカートになっており、増設前は下部が大きく空いた状態でした。
8000形のリニューアルにおいてもそれは同様であり、後に取り付けを行うことは決まっていたものと思われます。

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1000形については、リニューアルをスタートする段階で、子電連の装備が標準となっていました。
最終的には8000形の界磁チョッパ制御車と、1000形の未更新車のみが子電連を装備しない状態となりましたが、廃車により見られなくなっています。

各車両が子電連を装備するまでの流れ

現在は当たり前となった子電連ですが、装備した状態の車両が登場したのは2005年のことでした。
8000形の8257Fがリニューアル時に取り付けし、3000形は5次車の3269Fが最初から装備した状態で登場します。

子電連の装備は従来車にも波及し、3000形や8000形の更新車で装備していない車両に対して、増設が行われていきます。
一方で、4両編成に子電連を装備した車両は存在せず、取り付けはするが使われない状態となっていました。

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子電連の取り付けが行われていたのと同時期には、従来車においてスカートの改造が急ピッチで進められます。
これは併結相手の電気連結器が二段式の場合、子電連がスカートに干渉することによるもので、工期の都合からか暫定的な対応の車両も存在し、過渡期ならではの姿となっていました。

従来車の改造は、4両の小田原方と6両の新宿方が対象でしたが、子電連がない6両が二段式の4両と繋がる機会はなく、改造の意図はよく分かりません。
推測ではありますが、8000形の4両にブレーキ読み替え装置を搭載する予定や、3000形か4000形に4両編成を登場させる計画が存在し、6両にも改造が行われたものと思われます。

おわりに

3000形の大量増備が行われた2000年代の小田急は、車両計画が何度も変更されたような印象です。
5000形がリニューアルから短期間で廃車されたことや、3000形の10両化もそれを示していますが、子電連の増設に関係する動きも、それを暗に示していました。