2007年に登場し、東京メトロの千代田線に乗り入れる運用を中心としつつ、小田急全線で活躍を続ける小田急の4000形。
現在はJR東日本の常磐緩行線にも乗り入れており、かなり広範囲に渡って走行する車両となっています。

20230917_01

そんな4000形ですが、E233系を設計のベースとしているため、他の小田急の車両とは異なる点が多く存在します。
その中でも、機器構成には大きな特徴があり、出自の違いを物語る部分となっていますが、どのように他車と異なっているのでしょうか。

突然登場した印象の4000形

3000形の仕様が3次車で安定してから約3年半後、通勤型車両の増備は新形式の4000形に移行しました。
ハイペースで3000形が造られてきた中、突然登場したというのが4000形の印象で、発表段階からE233系をベースにしていると明らかにされます。

公式発表ではE233系をベースにしているとされていますが、設計のスタートはE231系だったとする説も散見され、実際にイメージのイラストではそれを感じさせる部分がありました。
E233系が運用を開始したのが2006年のことであり、時系列を踏まえると納得できる面もあり、E231系をベースにしつつ、E233系の要素が加わっていったということなのかもしれません。

4000形が登場したことにより、小田急の車両もJR東日本の設計をベースにするのが、今後の基本になるのかと思われましたが、5000形の登場によりそうではなかったことが示されています。
将来的な常磐緩行線への乗り入れに対する配慮や、韓国の地下鉄で発生した放火事件を受けて、中間に先頭車を挟んだ1000形を早急に撤退させる必要があったことから、設計期間の短縮が必要といった事情があったものと思われます。

機器構成に見られる違い

本来のE233系と比較すると、小田急らしさが色々と盛り込まれているとはいえ、機器構成の部分では他形式との違いが色濃く表れています。
乗っているだけでは気付きにくい部分ですが、やはり小田急の車両としては異色の存在といえるでしょう。

まず、10両固定編成を組む形式としては、小田急の中で唯一6M4Tを構成しています。
他形式は5M5Tとなっていますが、4000形は2両の電動車ユニットを三つとした構成で、パンタグラフも編成中で3基となりました。

小田急の10両固定編成は、設備の関係で検査時に4両と6両に分割する必要がありますが、この点においても4000形は他形式との違いがあります。
複数の編成を繋ぐ場合と同様、通常は新宿側が4両となりますが、4000形は小田原側が4両となっており、昔の表現でいう逆10両になっているのです。
何かしらの都合があるものと思われますが、こんな部分にも影響が及んでいることになります。

分割位置の違いに加え、機器の配置も他形式とは大きく異なるものとされました。
通常とは海側と山側が逆になっているというもので、VVVFインバーター等の主要機器が反対に取り付けられ、元々の設計が小田急ではないことを色濃く示しています。

おわりに

小田急の車両として造られながらも、他形式とは出自の違いを思わせる仕様差がある4000形。
近年も改造が行われていることから、今後も他社線への乗り入れを中心に活躍することでしょう。