終日に渡って利用者であふれ、折り返し列車も設定されている小田急の町田駅。
新宿方には引き上げ線が設けられており、小田原方面や江ノ島線に向かう列車が使用しています。

引き上げ線を使うケースが多いものの、小田原方には渡り線も設けられており、町田駅はホームで直接折り返すことも可能な配線です。
そんなに頻繁には使われていませんが、この渡り線はいつ運用を開始したのでしょうか。

町田駅の小田原方に設けられた渡り線

新宿方にある引き上げ線が目立つ町田駅ですが、小田原方にある渡り線も大切な役割を果たす存在です。
上り線から下りホームに直接入ることができる配線となっており、引き上げ線より圧倒的に使用頻度は低いものの、なくてはならない設備となっています。

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通常の折り返しの場合、引き上げ線を用いたほうが利用者には優しくなりますが、渡り線には独自のメリットがあります。
町田駅の引き上げ線は、現在も6両までの折り返しにしか対応していませんが、渡り線を使えば10両にも対応が可能であり、ダイヤ乱れ等が発生した際には大活躍することとなります。

渡り線を使うメリットは他にもあり、新宿方にある踏切を支障せずに折り返すことが可能なことから、遮断時間を短縮することができます。
折り返しに要する時間自体も短くなるため、引き上げ線との使い分けができる便利な存在であるほか、折り返す列車が重なる場合にも重宝するといえるでしょう。

渡り線が運用を開始した時期

異なる役割を担う町田駅の渡り線ですが、かつては存在しない設備でした。
設置されたのは小田急が輸送力の増強を進めている頃で、町田駅や江ノ島線の列車本数が増加しつつある、そんな時期のことです。

町田駅に渡り線が設置されたのは、1991年2月15日の終電後で、折り返し運転の手段が増やされました。
この渡り線を使用する定期列車が設定されるのは、3月16日のダイヤ改正のタイミングで、1日に10本ほどが使用するようになります。

ダイヤ改正よりも前のタイミングで、運用自体は可能な状態になっているものと思われますが、実際に使用した実績があるのかは分かりません。
設置からダイヤ改正までの期間が約1ヶ月と短いため、試運転程度でしか走行実績はなかった可能性が高そうです。

おわりに

引き上げ線とは役割が異なり、特にダイヤが乱れた際には大活躍する町田駅の渡り線。
小田急はホームで直接折り返す列車が少ないため、どちらかといえば異色の設備といえるかもしれませんね。