小田急線内だけではなく、乗り入れ先の全ての路線も走行可能で、文字どおりマルチな活躍を見せる60000形(MSE)。
フェルメール・ブルーと呼ばれる青い車体は、登場時に多くの小田急ファンを驚かせることとなりましたが、MSEのイメージとしてすっかり定着しました。

そんなMSEですが、最近検査を出場した60253Fに対して、ラッピングが施されています。
見た目の変化はほとんどありませんが、このラッピングは何を意味しているのでしょうか。

60253Fにラッピングを施工

6両編成が5本在籍するMSEですが、第3編成にあたる60253Fが最近検査を出場しました。
いつもどおりの日常といえばそうですが、その60253Fには通常とは異なる変化があり、小田原方からの3両にだけ、ラッピングフィルムが貼られた状態となっています。

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いきなりMSEの側面をアップにした写真となりますが、違いが分かりますでしょうか。
右が3号車のデハ60403、左が4号車のデハ60303となっており、ラッピングされているのは右の車両となります。
遠目には分かりませんが、よく見ると右の車両にだけ横方向にラッピングの継ぎ目があり、左の車両とは異なる状態です。

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場所を変えて先頭部を確認すると、さらに分かりやすい継ぎ目が見られました。
写真では継ぎ目をアップにしているため、このように違いが分かる状態となりますが、実際には接近して見なければ気にならないぐらい綺麗に仕上げられています。

ラッピングの試験は何を意味するのか

突然行われたMSEのラッピングですが、小田原方の3両にだけ行われていることから、あくまでも試験的なものと考えられます。
過去にも1000形の車体にクリアが塗られるといった試験があり、今回も何かを確認するための施工ということになりそうです。

小田原方の3両にだけラッピング、新宿方の3両は塗装が表面のままとなっていることから、見た目の比較がしやすいようにされているとみられます。
太陽の下、駅構内、夜といったように、シーンによって見え方がどのように変化するのか等、同一編成内に混在すれば比較はしやすいでしょう。

同一編成内に混在することで、経年劣化の違いも把握しやすくなるものとみられます。
現時点ではそこまで見た目に違いはありませんが、年数が経過すると差が出てくる可能性もあり、そのあたりも検証しそうです。

気になるのは、なぜMSEにラッピングを行ったのかという点です。
車体をフルラッピングすればそれなりの費用がかかるため、全塗装よりも優位性があるのかもしれません。
MSEの車体はメタリック系の塗装となっているため、通常よりもコストがかかるものと思われ、そのあたりの課題を解決しようとしている可能性がありそうです。

飛躍しすぎかもしれませんが、伊勢原に総合車両所を移転することも関係しているかもしれません。
現在は普通鋼製車体である8000形と30000形が在籍しますが、この2形式が引退後はステンレスかアルミのみとなるため、車体を全塗装する設備自体を設けない方向性も考えられます。
ロマンスカーを無塗装とするのは難しいでしょうから、そういった面でもラッピングに頼る可能性があるのかもしれませんね。

おわりに

イメージを大きく変えないようにしつつ、MSEの一部車両に行われた車体のラッピング。
色々な可能性が考えられそうですが、数年後にどんな状態となっているのでしょうか。