長期間に渡ってリニューアルが行われ、最終的に全編成の施工を完了した小田急の8000形。
リニューアルの過程で様々な仕様差が生まれつつも、当時の新車に劣らないレベルまで改良が行われました。

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多少の前後はあるものの、リニューアルは6両編成を先行して施工する流れとなり、後半は4両編成ばかりという状況になっています。
4両の一部の編成は、結果的にリニューアルから短い年数で廃車となりましたが、全編成に施工したことは正解だったのでしょうか。

リニューアル後の活躍期間が短い4両編成

2002年度から開始された8000形のリニューアルは、11年後の2013年度に完了しました。
小田急の車両更新において、こんなにも長い年数をかけたケースはなく、1000形が途中でリニューアルを打ち切ったことを踏まえると、今後も記録が破られる可能性は低いものとみられます。

リニューアルは6両編成への施工から始まり、2007年度からは4両編成にも行われるようになりました。
6両編成は2009年度をもって全編成が施工済となり、2010年度以降は4両編成のみへの施工が続くこととなります。



8000形が6両編成からリニューアルを行ったのは、分割併合の廃止等が関係していると思われますが、結果として両数でその後の経年に差が生まれることとなりました。
過去の事例においても、5000形と9000形は先に4両編成を更新し、後から6両編成に施工する流れがありましたが、そもそも増備自体が4両の後に6両だったこともあり、混在して増備された8000形とは少し事情が異なるといえるでしょう。

リニューアルの時期に差があることを踏まえれば、6両を優先して廃車にすれば効率的に思われますが、8000形は実質的に10両固定編成として運用されていたため、そのような対応は困難でした。
検査期限等の関係で、リニューアルから10年程度で廃車となった4両編成は多く、表面的にはもったいない結果となっています。

4両を全編成リニューアルしたのは正解だったのか

8000形の4両編成については、現在までに8編成が廃車となっています。
施行年度別の内訳は、2008年度の8054F、2009年度の8056F、2010年度の8052F、2012年度の8055F、8062F、8066F、2013年度の8061F、8059Fですが、リニューアルの時期が後半の編成が多い状況です。

タイミング等の問題ではありますが、リニューアルからの年数が浅い編成が早期に廃車となっており、結果論からいえば4両は全編成に施工しないほうがよかったようにも思います。
5000形でも同じ事象があったことを踏まえると、歴史が繰り返してしまった印象です。

下北沢付近の地下化や、分割併合がなくなったという背景があったことは理解するものの、2011年度あたりで打ち切っていれば、1000形のリニューアルに早期着手できたともいえます。
この場合は5編成程度が未更新で残ったことになりますが、簡易的な延命だけを行って箱根登山線内の専用編成にする等、上手く活用する方法は何かしらあったように思います。

1000形と3000形のリニューアルを見ていると、8000形の反省が素直に反映されているようにも見えます。
全編成への施工は失敗とまではいえないものの、正解ではなかったというのが実際のところなのでしょう。

おわりに

11年間に渡ってリニューアルが行われ、結果的にその後が短命だった編成も生まれている8000形。
さすがに時間をかけすぎてしまった面はあり、反省は現在の車両計画に反映されているように思いました。