全196両のうち、半数にあたる98両にリニューアルが行われ、現在も元気に活躍する姿を見ることができる小田急の1000形。
元々はワイドドア車以外の全車両がリニューアル対象でしたが、何らかの計画変更で廃車となる編成が多くなり、勢力が半減する結果となりました。

既に未更新車は全編成が廃車となりましたが、1062Fだけは今も訓練車として大野総合車両所に残っており、やや謎めいた存在となっています。

廃車後も残された1000形の1062F

未更新車の生き残りとなっている1062Fは、4両の3次車として1989年に登場した編成です。
営団地下鉄(現在の東京メトロ)千代田線に乗り入れるための編成でしたが、4000形の登場によってその役目は終わり、晩年は小田急線内を中心に活躍してきました。

4両の編成が次々に廃車となる中、比較的遅くまで活躍を続けていたものの、大野総合車両所内にて車番を隠した状態で留置されるようになりました。
結果的には2021年5月27日付で廃車となっており、車籍がない状態で留置されていたことが後に判明します。

20241123_01

廃車となった車両が次々に解体される中、その後も1062Fは大野総合車両所内に残り続け、懐かしい姿を今も見せてくれる存在です。
小田急は訓練車として残していると発表していますが、保存車であると言及されることもあり、やや謎が多いともいえます。

訓練車として1062Fが残された謎

残っていること自体は小田急ファンとして嬉しいものの、1062Fは今日に至るまで不思議な存在です。
というのも、車両の仕組み自体が変わっていく中、訓練車として活用できるシーンは限られるようにも思われ、それだけのために4両全車を残すという点には違和感がありました。

実際のところは、ツアーで保存車両としてお披露目されたり、車内を倉庫代用のように活用しているため、純粋な訓練車とはいえないかもしれません。
車籍がなくなっているため、本線に出ることはありませんが、通電している姿が時々目撃されており、車両としての機能はある程度生きていると思われます。

減便により保有車両数を減らしたとはいえ、留置スペースを確保するために保存車両の一部を解体した経緯もあり、4両もの車両が残っているのはやや不思議です。
4両のリニューアルが、7本というやや中途半端な数字になっていることもあり、何か事情があったのかもしれません。

この先が必ずしも安泰とはいえませんが、懐かしい姿を残す1062Fは、小田急の中でも貴重な存在となりました。
いつでも見られる通勤型車両の保存車であり、これからも末永く残ってくれることを願っています。

おわりに

かつて見られた2200形のように、大野総合車両所の片隅に留置されている1000形の1062F。
結果として解体されてしまったとならないように、小田急ファンとして見守っていければと思っています。