開業時から立体交差とされ、江ノ島線の上り線が小田原線を跨いでいる相模大野。
列車の本数が少なかった頃から平面交差を避けたことは、小田急の沿線が発展した際におおいに役立ち、現在も効率的な運行に貢献しています。

そんな立体交差ですが、建設から100年が近付きつつあることで、老朽化という課題に直面しつつあるようです。

跨線橋で行われた耐震補強

設備投資計画において、相模大野にある跨線橋の耐震補強が行われると明記されたのは、2023年度のことです。
2024年度においても引き続き書かれており、既に工事は行われたようですので、通る際に様子を見てみることにしました。

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高い柵があり分かりにくいですが、橋脚部分に補強が行われていることや、架線柱が交換されていることが分かります。
今となっては少々頼りなくも見えますが、まだ周辺に何もなかったような時代に、これだけ立派な設備を設けたことは、先見の明があったといえるでしょう。

立体交差に求められる抜本的な対策

耐震補強が行われているものの、江ノ島線が1929年に開業したことを踏まえれば、立体交差部分は建設から100年に近付いていることになります。
関東大震災の後に建設されているとはいえ、現代とは耐震基準も異なる時代であり、老朽化も進んでいると考えられ、建て替えも含めた抜本的な対策を行いたいのが小田急の本音でしょう。

経年を踏まえて、建て替えてしまえばよいのにと思ってしまいますが、上を江ノ島線、下を小田原線が高密度で運行している状態では、なかなか大規模な工事を行うのが難しいのかもしれません。
将来的には大野総合車両所を伊勢原市内に移転するため、その後に大規模な工事を行う可能性が高そうです。

現在まで効率的な運行に貢献してきた立体交差ですが、大きな地震等で損傷してしまったりした場合には、仮に事故がなかったとしても大問題が生じます。
この跨線橋が使えなくなってしまうと、江ノ島線は運行自体が困難になってしまう恐れがあり、そういった面でも被害は最小限に抑えたい場所といえるでしょう。

実際に何かが起こってしまった際には、下り線を使って単線運転を行うことで早期復旧はできるかもしれませんが、江ノ島線内には留置線や車両の検修施設がないため、運行にはかなりの制限を伴いそうです。
このようなリスクを抱えていることから、現状は耐震補強で少しでも強度を確保しつつ、総合車両所の移転までの期間をしのごうということなのかもしれません。

おわりに

開業時からの立体交差により、効率的な運行が行われてきた江ノ島線。
設備の老朽化が課題となりつつある中、少しでもリスクを減らしたい場所といえそうですね。