2025年3月15日のダイヤ改正において、減便後に課題となっていた部分に改善を行う小田急。
新宿から新百合ヶ丘までと、多摩線については利便性が高まりそうで、評価する声も多いように感じます。

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そんなダイヤ改正において、課題はありつつもそのままとなっているのが、小田原線の町田以西に設定されている6両の急行です。
混雑が激しい列車となっていますが、残された背景にはどんな意味があると考えられるのでしょうか。

ダイヤ改正後も残りそうな6両の急行

小田急にとっては、久々にポジティブな話題が多いダイヤ改正が行われますが、町田駅から小田原駅にかけて運行されている6両の急行については、特に触れられていませんでした。
触れないということが、必ずしもそのままとは限らないものの、多摩線から6両の運用が減ることを踏まえれば、残ると考えるのが自然でしょう。

減便時に設定された6両の急行については、乗客側が快速急行にタイミングを合わせる動きがみられ、一定の浸透をしているようには感じます。
一方で、混雑しているという状況には変化がなく、利用者の目線では対策してほしいという声があがるのは、十分理解できるものです。

今回のダイヤ改正において、この部分の変更をしなかったことからは、以前のように10両に戻すことを避けたい意図が感じられます。
車両や乗務員の不足、新松田駅での小田原方面への複雑な折り返しを避けたいのだと思いますが、なかなか難しい問題なのだと改めて考えさせられました。



小田急は区間ごとの運行本数を適正化したいようで、例えば本厚木から小田原にかけて、日中に特急以外で9本の列車を走らせることは、基本的に避けたいのだと思います。
しかし、新松田以西で10両の各駅停車を走らせることはできないため、やむを得ず6両の急行を設定しているのが実情というところなのでしょう。

6両の急行が残る意味を考える

課題があるとは考えず、6両の急行を走らせているのかといえば、私は必ずしもそうではないと感じています。
より正確に表現すると、課題は分かっているが現状はどうにもならないため、やむを得ずそうしているのではないでしょうか。

感情論においては、多摩線にばかり10両編成が走ることについて、批判的な反応があることは理解できるのですが、優等列車の運行が相当減らされていることや、最盛期よりも運行本数自体が削減されていることを踏まえると、この点については前提条件の違いによるものだと考えています。
それはインフラが整っているかいないかの違いであり、現状において新松田以西にホームが短い駅がある以上、どうにもならないのでしょう。

このあたりの事情については、かつて箱根湯本行きの急行が中型車の4両だったことに似ているようにも思います。
利用者としての立場、経営側の立場、それぞれの目線で見てみると、現在の小田急の事情が理解できるように感じました。

現状を踏まえたうえで未来に目を向けると、キーワードになりそうな動きもあります。
それは伊勢原に造られる総合車両所と箱根登山線のワンマン化で、これらの具体化を待っているようにも感じました。

二つの動きをあげましたが、特に気になっているのが箱根登山線のワンマン化です。
1000形の4両編成が7本あることを加味すれば、将来的に新松田から箱根湯本までを4両で運行し、ワンマン運転で一体化させる可能性は否定できないといえます。

新松田駅での小田原方面への折り返しについては、配線改良により下り線への逆線到着をできるようにする可能性もあるように思いました。
なぜかといえば、今回のダイヤ改正で開成駅が正式に快速急行の停車駅となったことで、各駅停車から優等列車への乗り換えを、開成駅で行うことができるためです。
新松田駅での乗り換えがなければ、逆線到着でも利用者に不利益はほとんど生じないことから、夢物語ではないように感じています。

箱根登山線内でのワンマン運転は、2025年度から試験が始まる予定であり、その結果を待っている可能性はありえるように思いました。
伊勢原の総合車両所については、建設されること自体がまだ先であるほか、各駅停車を伊勢原行きに変更する要素が強いように感じるため、6両の急行を解消することにはあまり影響がないかもしれません。
いずれにしても、インフラの面で何か変化がなければ、6両の急行は解消が難しい気がしており、今後の動きに注目していきたいと思います。

おわりに

課題があることは明らかながら、ダイヤ改正後も残ると思われる6両の急行。
箱根登山線内の変化がこれからの数年で激しくなることから、その動きとの関連が気になるところです。