2025年3月15日に行われるダイヤ改正において、一部の優等列車の種別で停車駅の追加を行う小田急。
近年は途中駅で列車種別の変更をする列車が多発していましたが、大部分は今回のダイヤ改正で解消するものと思われます。

停車駅の追加は、快速急行、急行、準急に発生しますが、準急についてはかつての区間準急に近い存在となるようです。
今回の停車駅追加から見えてくる、列車種別の位置付けを変更する動きについて考えてみたいと思います。

進む準急の区間準急化

2025年に行われるダイヤ改正では、準急の停車駅に喜多見と和泉多摩川が加わります。
他には、開成に快速急行が、多摩線の各駅に急行が停まるようになりますが、こちらは列車種別の変更で対応していたものを停車駅化する要素が強く、最も停車駅追加の色合いが濃いのは準急といえそうです。

準急については、複々線が完成した2018年に停車駅の変更が行われており、千歳船橋、祖師ヶ谷大蔵、狛江の3駅が追加されていました。
今回の変更では、経堂から準急は各駅に停車という位置付けに変わりますが、これはかつて運行されていた区間準急に近いものとなります。

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ダイヤ改正以降の準急と区間準急には、梅ヶ丘、豪徳寺への停車有無と、東京メトロの千代田線に乗り入れるかどうかという違いがありますが、かなり似た存在になるようです。
複々線化の完成後から今日に至るまでは、過剰になった輸送力をそれ以前に近い水準に戻してきている印象があり、適正化を進めているということなのでしょう。

このような動きになることは仕方がない面もあり、複々線が必要なのは主にラッシュ時であることを踏まえれば、日中に増発をしたところで乗客が増えるわけでもなく、試行錯誤の期間だったということになりそうです。
本数を増やして人口が増えればよいですが、沿線の多くが成熟した現代では、そう簡単なものではありません。

停車駅の追加が意味していること

今回のダイヤ改正においては、列車種別の役割を明確にするという意図が感じられます。
着席需要や観光向けの要素が強い特急を除外した場合、各列車種別の役割がなんとなく見えてきました。

快速急行については、特急に誘導したい本厚木以西の一部区間を除けば、全線に渡って通過運転を行います。
近年は混雑が激しい存在でしたが、基本的には長距離の利用客を乗せたい列車といえるでしょう。

急行は多摩線内を各駅停車にすることで、新百合ヶ丘以西の各駅における選択肢とする狙いを感じます。
まだ完成形ではない気もしており、最終的には小田原線内の新百合ヶ丘から先も各駅に停車する等、将来的にはさらに変更が行われるかもしれません。

今回変更された準急については、経堂から向ヶ丘遊園にかけての各駅における選択肢となります。
途中駅から先は各駅停車という分かりやすい列車になるため、今よりも利用率は向上しそうです。

まとめると、経堂までは各駅停車、向ヶ丘遊園までは準急、新百合ヶ丘までと多摩線は急行、それ以外は快速急行という住み分けに整理したことになります。
こうなると、やはり急行にやや中途半端な印象を感じる部分があるため、まだ何か変化する可能性を捨てきれません。

今回の整理には、複々線の完成時に設定された通勤系の種別が寄与しているともいえます。
朝のラッシュ時とそれ以外の時間帯において、遠近分離の位置をずらすことで、混雑の平準化を図ろうとしている印象を受けました。

おわりに

停車駅の追加により、遠近分離の位置を意図的にずらすダイヤ改正となる小田急。
快速急行と準急が完成形になったと感じる一方で、急行の今後については若干気になる立ち位置となったように思います。