大規模改良工事が本格化し、終端部側を中心に変化が生じている小田急の藤沢駅。
反対側はほとんど変化がなく、昔と変わらない姿を維持していますが、気になるのは10両編成に対応するホームが増えるのかという点です。

大規模改良工事に関する発表では、ホームを改良するといったことは一切触れられていません。
一方で、可能性を感じるような動きがないともいえないため、物理的に増やせそうなのかを考えてみたいと思います。

1番ホームしか10両が停まれない藤沢駅

小田急の藤沢駅といえば、高頻度で列車を運行しつつ、スイッチバックが行われる駅として有名でした。
しかし、電車の編成が長くなってくると、決して広くはない構内がネックとなり、全線10両化の際には1番ホームのみを延長し、なんとか停車できる環境を整えています。

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終端部側からホームを見るとこのようになっており、1番ホームのみが長く、その他は短いことが分かります。
左に見える3番ホームと4番ホームについては、ホームを出てすぐの位置に両渡りポイントが設置されており、配線上の都合でホームを延長することが難しかったといえそうです。

藤沢駅の配線は、1番ホームが相模大野方面の下り線、4番ホームが片瀬江ノ島方面の上り線に繋がり、中央の線路は相模大野方面の上り線と、片瀬江ノ島方面の下り線を共用するような状態となっています。
どちらにも両渡り線がありますが、片瀬江ノ島方面は二つあることが特徴で、相模大野方面の列車を支障せずに走行することが可能です。

10両に対応したホームを増やすことはできるのか

スイッチバックという悪条件の中で、長年に渡って列車を運行してきた小田急ですが、2022年のダイヤ改正で大きな変化がありました。
それは、相模大野方面と片瀬江ノ島方面を直通運転する列車の激減で、各駅停車は一部の列車を除いて藤沢駅で系統が分離され、ロマンスカー以外はほとんどが藤沢駅で折り返すダイヤとなっています。

方面別の運行が分離したため、現在の配線はやや過剰な設備になってしまい、巷では撤去されるのではないかという声を耳にするようになりました。
仮に撤去した場合には、直通運転をする列車のダイヤに配慮が必要になりますが、本数としては僅かになっているため、そこまで大きな影響はなさそうです。

ホームに近い両渡り線が撤去できた場合には、2番ホームを延長して10両に対応できそうですが、幅が狭いという問題が生じるものと思われます。
そこで気になるのが終端部側の動きで、地上部分の改札は規模を縮小しつつ残りますが、メインは橋上駅舎内へと移る予定です。
橋上駅舎化後、残る改札機の台数によっては、線路を若干終端部側に延長することが可能なように見えるため、両渡り線を撤去した部分のホームが狭い問題は、多少改善できるものと思われます。

問題は費用対効果で、そこまでして10両の停車に対応するホームを増やす意味があるのかどうかです。
改良工事ではホームドアの設置も予定されているため、対応させるならばこのタイミングですが、どうなりますでしょうか。
ポイントが減れば、メンテナンスのコストは少し下がるでしょうから、運用上の自由度を上げるという観点で、どういった動きになるか注目です。

おわりに

10両が停車できるホームが1本しかなく、ダイヤ設定上は制約もある藤沢駅。
ダイヤが乱れた際の柔軟性を高めるためにも、対応ホームは増えたほうがよいように思いますが、どんな未来が待っているのでしょうね。