駅で発車メロディー等を使用せず、必要に応じて車掌の操作で乗降促進メロディーを鳴らしている小田急。
利用者にはおなじみの存在となっており、小田急が発車する際に鳴らすメロディーといえば、思い浮かべられる方が多いのではないでしょうか。

そんな乗降促進メロディーについて、いつから使われ始め、どのように変遷してきたのかをまとめてみたいと思います。

乗降促進メロディーのはじまり

現在は当たり前となった乗降促進メロディーですが、使われるようになったのは2000年の終わり頃でした。
この時期は小田急が通勤型車両の本格的な廃車を始めるタイミングで、2600形の置き換え用として2000形の3次車が増備されますが、その最初の編成である2054Fから、乗降促進メロディーの歴史が始まります。

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2054Fは冷房装置のキセ内に車外スピーカーを搭載し、車掌の操作により乗降促進メロディーを鳴らすことが可能で、たった1編成のみが使える状態からのスタートでした。
これ以降に増備される小田急の車両は、基本的に車外スピーカーを搭載しており、車両の置き換えが進むことで使える車両が増えていきます。

3000形の増備により、乗降促進メロディーが使える車両は徐々に増えていきますが、全てを置き換えたり改造しない限り、使えない車両が残る状態でもありました。
そこで、2004年から車掌が携帯するPHSを活用し、端末操作で駅のスピーカーから乗降促進メロディーを鳴らせるようにすることで、車外スピーカーがない車両でも使える状態が構築されました。
5000形等が発車する際にも乗降促進メロディーが鳴り、運用開始当初はかなり違和感があったことを思い出します。

乗降促進メロディーのあれこれ

車外スピーカーを搭載する車両が増えた現在ですが、運用については車掌の裁量に任せられているようです。
現在も駅のスピーカーから流せるようになっていますが、車外スピーカーを搭載した車両であっても、あえて駅から鳴らすケースもあり、状況により使い分けられているのでしょう。

駅のスピーカーから乗降促進メロディーを鳴らす場合、その後に流れる放送の声に車両との仕様差があります。
下りが女性、上りが男性の声となっており、接近放送等と合わせられていることが特徴です。

乗り入れてくる東京メトロの16000系や、JR東日本のE233系2000番台についても、小田急の乗降促進メロディーを鳴らすことができるようになっています。
以前は小田急のメロディーを鳴らせず、E233系2000番台が小田急線内でJR東日本のメロディーを鳴らすことがありましたが、現在は基本的に聞くことができなくなりました。

他社においては、駅で発車メロディーが使われるケースが多いですが、小田急は一貫して採用していません。
接近メロディーを使う駅はありますが、新宿駅を例外とした場合、終電を除けば発車時にベルを鳴らすこともなくなり、乗降促進メロディーによる運用に統一されている状態です。
小田原駅では一部のホームで発車メロディーが使われているものの、あくまでも箱根登山線としての運用であり、新宿方面に向かう際には鳴りません。

いつまで行っていたか覚えていませんが、かつてはドアを閉める前に車掌がホイッスルを吹いていました。
乗降促進メロディーはこれに代わる存在ともいえますが、駆け込み乗車を誘発することを避けるため、小田急は発車ベルや発車メロディーの使用に消極的と耳にしたことがあり、車掌の裁量に委ねることができるようになっているのかもしれません。
乗降促進メロディーの使用についても、発車するから鳴らすというよりは、文字どおり乗降を促進したい時に使われている印象で、小田急ならではの姿勢といえそうです。

おわりに

乗降促進メロディーの使用が開始されてから、既に25年近く経っていました。
使用開始当初からメロディー自体も変わっておらず、イメージとして定着するのも当然といえそうですね。