軌道や架線の検測を行う車両として、2003年に登場した小田急のクヤ31形。
5000形に線路設備モニタリング装置が搭載されたため、今後の動向について目が離せない車両となっています。

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そんなクヤ31形ですが、TECHNO-INSPECTOR(テクノインスペクター)という愛称がつけられています。
車両の登場後、運用を開始するまでの間に決められた愛称ですが、どのようにして名付けられたのでしょうか。

愛称が募集されたクヤ31形

側面に大きく愛称が描かれ、ロイヤルブルーの帯を巻くクヤ31形ですが、小田急に入線した段階では車体が装飾されていませんでした。
車体はステンレスの地肌のままであり、ロイヤルブルーの帯さえも巻いていない状態で、愛称を募集してからデザインを決める方向性だったのでしょう。

入線から10日ほどが経過した2003年9月30日になり、小田急からクヤ31形の愛称を募集するという告知がありました。
クヤ31形は日中に走る車両であり、利用者の目に触れる機会も多いことから、総合検測車に親しみをもってもらえるようにというのが、愛称を募集することになった理由です。

愛称の応募方法は、考えたものを官製はがきに書いて送るというもので、インターネットが普及した今となっては懐かしくさえ感じます。
賞品も用意され、採用賞は小田急百貨店の商品券を5万円分と、クヤ31形の試乗への招待、他に参加証が100名分となっていました。

募集開始から約5ヶ月後に発表された愛称

募集が始まってから約5ヶ月後、2004年3月1日に愛称決定の発表が行われます。
応募総数は約2,000通だったそうで、その中からテクノインスペクターという愛称が採用されました。

愛称は、技術を意味する「TECHNO-」と、検査するものという「INSPECTOR」を組み合わせたもので、2004年2月上旬に決定したようです。
そこから下旬までに車体のデザインが決定していることから、ある程度の素案は元々あったのかもしれません。

テクノインスペクターという愛称を応募したのは1名で、見事に採用されたということになります。
応募者が複数名いた場合には、賞品が抽選になる予定だったため、そうならなくてよかったといえそうです。

おわりに

愛称を募集して決め、側面にも大きく描くデザインとなったクヤ31形。
デザインを変えずに今日まで走り続け、おなじみの存在として定着していましたが、まもなくその役目を5000形に譲ることになりそうです。