駅に到着する際や、発車時にミュージックホーンを鳴らし、特別感を演出している小田急のロマンスカー。
現在も使われているミュージックホーンは、50000形(VSE)から採用されたものですが、過去に使われていた補助警報を演出用に変更し、復活させたという経緯がありました。

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一時的に聞くことができなくなっていた補助警報ですが、どのような流れで一時消滅したのでしょうか。

ロマンスカーと補助警報

現在は演出用のアイテムとなったミュージックホーンですが、元々は保安度を向上させるための装備でした。
高速で走行するロマンスカーにおいて、遠くから車両の接近を知らせることを目的としており、走行中は鳴らしっぱなしという、今となっては信じられない使い方がされていたのです。

画期的な車両として生み出された3000形(SE)が登場した当時、小田急沿線はまだまだ発展途上の状況で、警報灯や遮断機さえない踏切が多くありました。
そんな路線を特急が高速で走行するため、早めに車両の接近を知らせる必要があり、走行中に鳴らす補助警報が搭載されたという経緯です。

車両や時期により、補助警報の音色には変化がありましたが、20000形(RSE)まで搭載が続けられ、ロマンスカーを象徴するアイテムの一つでもあります。
しかし、30000形(EXE)では搭載が見送られてしまい、そういった面でも異質なロマンスカーとして見られることとなりました。

鳴らせなくなった補助警報

EXEで搭載が見送られた補助警報ですが、10000形(HiSE)が登場した頃の段階で、ほぼ鳴らす機会はなくなっていました。
沿線の宅地化が進んだことで、補助警報は騒音という見方をされるようになってしまい、新宿寄りでは鳴らさないといった変遷を辿りつつ、全く鳴らされない状態になっていきます。

通常は鳴らさなくなったものの、車両に装置自体は残っていたため、時代が平成になった頃においても、大雪等の悪天候時には鳴らしながら走行することがありました。
しかし、聞くことができるのは稀であり、耳にした時は嬉しかったことを思い出します。

そんな補助警報でしたが、やがて装置自体が撤去されてしまうことになりました。
電子警笛を搭載した際に撤去されたように記憶しており、スピーカー等が流用されたということのようです。

唯一の例外として、7000形(LSE)については装置が撤去されず、使えない状態とされていました。
7004Fが旧塗装化された際、補助警報についても鳴らせる状態に復元されましたが、その後D-ATS-Pを搭載する際に再び使えなくなったようで、やや残念な晩年となっています。

おわりに

騒音を理由に撤去されつつも、VSE以降の車両ではミュージックホーンとして復活した補助警報。
SE以降の車両においては、結果的にEXEだけが搭載した実績がなく、こんな点でも異質な存在といえそうですね。