現在は各社の車両が統一され、バリエーションは少なくなった千代田線を介した相互直通運転。
小田急、東京メトロ、JR東日本の3社の車両が走り、多種多様な運用が組まれています。

そんな車両の中に、最近も話題が豊富な209系1000番台がありました。
小田急に乗り入れることなく、常磐緩行線から撤退した車両の思い出を振り返ります。

僅か2本だけの209系1000番台

小田急とJR東日本の車両は相互に直通運転をせず、3社に跨って走行するのは東京メトロの車両のみ、そんな時代は2016年まで続きました。
代々木上原駅までは来るものの、203系等が小田急の線路を走ることはなく、近いような、遠いような、常磐緩行線の車両はそんな存在でした。

203系が多数を占めつつ、それに207系900番台が混ざっている状態が続いてきた中、1999年に2本の車両が加わります。
列車の増発に合わせた増備車で、京浜東北線等を走る209系を地下鉄直通仕様とし、新たに1000番台として区別されました。

こうして運用を開始した2編成ですが、209系とは思えない高加減速を誇り、地下鉄線内等を軽快に走っていくこととなります。
小田急ユーザーの私にとっては、代々木上原駅で見かけると嬉しい存在であり、稀に2編成が並ぶようなことがあると、運がよい日だと感じたものでした。

207系900番台、209系1000番台という少数派が走っていても、常磐緩行線自体は3形式の共通運用で、どの車両に当たるのかは運でしかなく、だいたいは203系だったことになります。
千代田線を使って通勤していた時期は、どの車両が来るのかが小さな楽しみの一つで、209系1000番台には何度も乗る機会がありました。

限定運用で過ごした撤退前の時期

お互いの車両が乗り入れず、距離のある状態だった小田急とJR東日本でしたが、2016年からは相互直通運転がスタートします。
203系と207系900番台は引退し、後継としてE233系2000番台が多数派となっていましたが、209系1000番台は残って活躍を続けていました。

小田急線内でJR東日本の車両を見るという、かつてなかった光景が展開されることになりましたが、209系1000番台は残念ながら乗り入れ対象から外され、2016年からは限定運用へと充当されるようになります。
区別のため、前面にはEと書かれた丸いステッカーが貼られ、一気に脇役へと立場が変わってしまいました。

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限定運用に変わった209系1000番台でしたが、既に撤退の足音は近付きつつあったようで、E233系2000番台が2017年に追加増備され、2018年に常磐緩行線から撤退し、次の活躍の場は中央線の快速電車となります。
身近だった車両は帯をオレンジに変え、またしても少数派の車両として活躍を続けることになりますが、私にとっては一気に遠い存在となってしまいました。

おわりに

増発用の車両として登場し、珍しい存在として走り続けた209系1000番台でしたが、いよいよ引退という声が聞こえてきます。
もう少し3社での相互直通運転の開始が早ければ、小田急線内を走るようなことがあったかもしれないだけに、そんな姿を見てみたかったと今でも思います。