1000形の未更新車が廃車されたことで、小田急では見ることができなくなった方向幕を装備した車両。
回転しながら表示を変えるシーンに遭遇すると、少し得した気分になったものです。

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そんな小田急の方向幕ですが、行先についてはどのような順番となっていたのでしょうか。
前面と側面で異なる順番についても、合わせて確認してみたいと思います。

前面行先幕におけるコマの順番

小田急における行先幕は、2220形が貫通扉の下部に初めて採用し、それ以降に登場する車両に装備されるようになります。
初期においては手回し式となっており、乗務員がハンドルを使ってコマを変える必要があり、労力が必要なものでした。

その後、9000形が登場時から自動化された状態とされ、乗務員室内から設定をすることで、自動的に指定のコマへと変わるようになります。
自動化後はコマの順番が固定され、時期によって表記や駅が異なるケースはあるものの、基本の順番は変わりませんでした。

以下は前面行先幕における、最終的な順番をまとめたものです。

・新宿
・代々木上原
・経堂
・成城学園前
・向ヶ丘遊園
・新百合ヶ丘
・唐木田
・相模大野
・相武台前
・海老名
・本厚木
・秦野
・新松田
・小田原
・箱根湯本
・新百合ヶ丘 / 多摩センター
・多摩センター
・藤沢
・片瀬江ノ島
・箱根湯本 / 片瀬江ノ島
・小田原 / 片瀬江ノ島
・団体専用
・試運転
・回送
・町田
・長後
・伊勢原
・綾瀬
・大和
・代々木公園
・明治神宮前
・霞ケ関
・湯島
・北千住

新宿を起点として、路線図と同じような順番で並んでいますが、途中に回送等が挟まっていることが特徴です。
これは追加されたコマが後ろに入っていることによるもので、千代田線内の駅が最後の追加だったことを意味します。

時期によって表記は変わっており、昔は駅名が短縮表記されていた駅もありました。
後半のコマは入っていない車両もあり、全てを解き明かすのは簡単ではありません。

側面行先幕におけるコマの順番

行先幕は前面のみという状況が長く続きましたが、5000形の6両が増備の途中で側面にも採用し、これもまたその後の標準装備となっていきます。
側面という特性から、自動であることが前提となっており、手動だった車両は存在しません。

面白い点としては、前面とコマの順番が大きく異なっていることで、共通点はありませんでした。
以下は側面行先幕における、最終的な順番をまとめたものです。

・藤沢 / 片瀬江ノ島
・新松田 / 小田原
・新百合ヶ丘 / 多摩センター
・新宿 / 向ヶ丘遊園
・成城学園前
・長後
・秦野
・伊勢原
・海老名
・相武台前
・新百合ヶ丘
・多摩センター
・経堂
・向ヶ丘遊園
・町田
・相模大野
・藤沢
・片瀬江ノ島
・新宿
・箱根湯本
・小田原
・新松田
・本厚木
・代々木上原
・綾瀬
・回送
・団体専用
・試運転
・唐木田
・大和
・代々木公園
・明治神宮前
・霞ケ関
・湯島
・北千住

起点には折り返し運転用のコマが配置されましたが、正式に使用された時期はなかったようです。
その後は、真ん中に向かって使用頻度が高い駅となっていく順番で、幕を沢山回さなくて済むようにしたものと思われます。

前面と側面で順番が異なるようになったのは、登場した時期が違うことに由来します。
素直に並べた前面に対して、側面は運用上のメリットを重視したものと思われ、ややこしい状態が生まれました。

おわりに

基本的な順番が変わらなかったことには理由があり、小田急は異形式での併結を日常的に行っていたことから、各車両の行先幕も仕様を合わせる必要があり、途中でコマの順番を変えるのが困難だったのでしょう。
こうして前面と側面の順番が異なる状態となったわけですが、今は一瞬で表示が変わってしまうようになり、少し寂しい時代になったようにも思います。