小田急の複々線化時に地下化され、現在は地上の線路跡も多くが整備された状態になった下北沢。
線路があった場所に建物や通路ができたため、今もなんとなく線路跡であることが分かります。

そんな線路跡の中に、自然溢れる空間が広がる場所が設けられました。

線路跡に生まれたシモキタのはら広場

2013年に一帯が地下化され、2018年に複々線が完成した下北沢ですが、当然地上からは線路がなくなっています。
空いた用地の活用が進み、直線上に建物がある状態が線路跡であることを物語りますが、やがて遠い過去になってしまうのでしょう。

様々な風景となった線路跡ですが、下北沢駅の南西口を出て少し歩いた場所に、自然が豊かな広場が造られました。
「シモキタのはら広場」と名付けられたその場所は、建物に囲まれた空間ながら、そこが下北沢だということを忘れるような風景となっています。

20250201_03

通路から入れる入口から見ると、このような風景が広がります。
地上に線路があった頃の下北沢からは想像もできない、自然豊かな空間です。

シモキタのはら広場が誕生した背景

下北沢に誕生したシモキタのはら広場は、広さが約700㎡となっており、小田急と世田谷区が事業主となって造られました。
小田急が事業主となっていることがポイントで、営利企業でありながらこのような対応をしたことになり、採算という面ではプラス要素はほとんどないものと思われます。

管理については、シモキタ園藝部という一般社団法人が行っており、ボランティアではなく事業として運営されているそうです。
2022年にオープンして以降、整備されすぎた環境ではない広場として、訪ねた際にも良好な状態が維持されていました。

20250201_04

地上に線路があった頃の下北沢は、建物が密集した地域という印象が強く、その独特な風景が魅力でもありました。
一方で、緑があるとはいえない地域でもあり、地下化によって空いた用地に緑を増やしてほしいという要望に対して、小田急が応えたことになります。

オープンからはまだ数年という状況ですが、樹木等が成長していくとどのような風景となりますでしょうか。
都会の中で維持するのは簡単ではないと思われますが、変化の過程も楽しみにしています。

おわりに

都市部で緑を維持するのは大変な反面、未来のことを考えた場合には大切なことだとも思います。
地域全体からすれば僅かな空間なのでしょうが、このような取り組みが増えていけば、失われた自然を少しずつ取り戻すことも可能なのかもしれませんね。