サステナ車両として小田急から8000形を譲り受け、8000系としてデビューさせる予定の西武。
国分寺線等での運用が予定されており、2025年5月より営業運転を開始する予定となっています。

西武では2000系を置き換えることになる8000形は、1982年に登場した車両です。
2000系は8000形よりも新しい車両ですが、なぜ古い車両に置き換えられる選択となったのでしょうか。

決め手となったVVVFインバーター制御

小田急から西武に移籍し、8000形は8000系となりました。
今後2000系を置き換え、国分寺線での活躍が始まることになりますが、古い車両が新しい車両と入れ替わるのが、今回の譲渡における特徴です。

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国分寺線で活躍する2000系は、新2000系と呼ばれる後期に増備されたグループで、1998年以降に登場しました。
小田急の1000形と同時期に造られた車両ですが、界磁チョッパ制御を採用した普通鋼製の車体となっており、その後に登場した6000系のほうが同世代感があるといえるでしょう。

一部の編成にはリニューアルが行われましたが、内外装の改良が中心となっており、足回りについては製造時から大きく変わっていません。
全車両がVVVFインバーター制御になった会社も多くなってきた中、西武としても2030年度までに実現したい意向で、小田急の8000形に白羽の矢が立ったことになります。

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登場から40年以上も経過している8000形ですが、譲渡されるのはリニューアルから最大で20年ほどが経過した編成と考えられます。
8000形はリニューアルの際に足回りを一新しており、そこだけを見れば3000形や4000形と同世代で、西武でいえば20000系や30000系が増備されていた時期です。

リニューアルから20年が経過といえば、それなりに走り込んでいるようには感じますが、廃車が進められている8000形は予備品の確保がしやすく、車両以外にも部品の譲渡が行われているとみられます。
つまり、比較的新しいVVVFインバーター制御の車両で、予備品の確保がしやすいという点が、西武にとっては魅力的だったといえるでしょう。

普通鋼製の車体にもある大きな違い

足回りが魅力的であったことは理解しやすいものの、今の時代に普通鋼製の車体であることは、やや違和感を覚える方が多いと思います。
西武の2000系も普通鋼製の車体であり、足回りをVVVFインバーター制御に改造すれば、8000形と同じような車両とできなくはないように思えるためです。

ステンレスの車体ではないのにもかかわらず、なぜ8000形を導入することになったのかといえば、同じ普通鋼製ではありながらも、前提条件が大きく異なる点があるからだと思われます。
2000系は雨樋や床板にステンレスを使用し、腐食に対する耐性を高めていますが、小田急の8000形についてもそこは同様で、加えて屋根もステンレスとされました。

一部にステンレスを採用した点は同じであるものの、8000形は側窓にアルミニウム製のユニット窓を採用しており、さらに踏み込んだ腐食対策がされています。
さらに、リニューアルの際には塗装を剥離して車体の修繕が行われており、車齢の割には状態がよいとみられることから、古くても導入する価値があると判断されたのでしょう。

両数がそこまで多くはなく、走行時における消費電力の削減が可能となれば、8000形はショートリリーフとして最適な車両です。
一方で、導入にあたっての改造も多岐に渡っていることから、数年程度で引退ということにはならないと思われ、今後10年程度は走るのかもしれませんね。

おわりに

8000系としての再出発が近付き、営業運転の開始に向けての試運転が始まっています。
訪ねて撮影をしたいところなのですが、色々と忙しい時期に入ってしまい、動けないことが歯がゆい今日この頃です。