旧型車両からモーター等を流用し、近代的な車体と吊り掛けモーターの組み合わせが特徴だった小田急の4000形。
後に2400形のモーターを流用して高性能化されますが、いつの時代も小田急の中では異端車的存在でした。

20180204_04

そんな4000形ですが、同一編成内で複数の台車を履いていることも特徴の一つでした。
なぜ形式内で台車が混在することになったのでしょうか。

高性能化後の4000形が履いていた様々な台車

小田急の営業用車両としては、最後の吊り掛け駆動車となっていた4000形ですが、他の車両と性能が異なっていたことから、徐々に使いにくい存在となってきました。
そこで、1985年より高性能化と冷房化をセットにした大改造が行われ、同時に編成も小田急の標準である4両と6両に組み替えられることとなります。

高性能化に合わせ、一部の機器等については新製されていますが、極力使えるものは使う方針となっており、編成や車両によって異なるものが使われるケースがありました。
機器以外の部分では、車両によって台車が異なるのが4000形の特徴で、小田急では珍しく出自の異なる台車が混在する結果となっています。

4000形が履いていた台車は、TS-814、TS-818、TS-826の3種類で、基本的に住友金属工業の台車を採用する当時の小田急において、東急車輛製造の台車を履く珍しい存在です。
台車の差異は電動車かどうかの違いが基本で、デハがTS-826を履き、クハがTS-814かTS-818を履いていました。

台車の種類はなぜ増えてしまったのか

引退までを3種類の台車で過ごした4000形ですが、そもそも製造時から履いていたものは一つも残っていませんでした。
背景には、製造当初に履いていたパイオニア台車の存在があり、それを淘汰したことが台車の混在に繋がっています。

4000形は3両編成で登場し、当初は4001Fから4022Fまでの66両が造られました。
利用者の増加で編成が長くなってくると、奇数を編成単位とした4000形は、8両編成が組めないという弱点を抱えることとなり、その解決策が必要となります。
そこで、2両単位である1800形と編成を組ませることで、8両として仕立てることになり、ラッシュ時の優等列車等に投入されました。

4000形が優等列車に投入された背景には、高性能車に比べて加速性能が劣りつつも、収容力があったことが関係していたものと思われます。
しかし、1800形との併結は4000形の運命を大きく変え、パイオニア台車の特性に起因する脱線事故が連続して発生したことから、この運用は中止となりました。

その後、4000形は中間車を増備して一部の編成を5両化しますが、その際に造られたのがTS-814とTS-818の二つの台車でした。
中間車の増備時に、脱線の原因となったパイオニア台車は採用されず、クハは新製のTS-814に履き替えが行われ、外したものが中間車に流用されます。
TS-818については、流用する台車が足りなかったことから、中間増備車の4両だけが履いていました。

パイオニア台車の完全淘汰は、4000形の高性能化時に行われ、その際にTS-826が新たに造られています。
こうして4000形からパイオニア台車はなくなりますが、結果として3種類の台車が混在する状況が発生しました。

おわりに

最初から最後まで、小田急の中では異質な台車を履いて活躍した4000形。
他形式とは乗り心地が異なっており、今でも忘れられない面白い存在の車両でした。