平日の朝にのみ運行され、快速急行に準ずる列車種別に位置付けられる小田急の通勤急行。
2018年のダイヤ改正で設定されて以降、ラッシュ時にのみ見ることができる、珍しい列車として定着しました。

10両編成で走る通勤急行には、2000形を除く各形式が充当されますが、4000形を見る機会はそこまで多くありません。
4000形を使用した通勤急行は、なぜ珍しい存在なのでしょうか。

比較的珍しい4000形を使用した通勤急行

多摩線内から新宿駅を目指す通勤急行は、全ての列車が10両編成で運転されます。
設定当初は1本だけ8両編成の列車がありましたが、1年ほどで解消されました。

両数さえ合っていれば、通勤急行に使用できない車両はありませんが、実際には4000形のみ充当機会が少なくなっています。
16編成が在籍する4000形には、東京メトロの千代田線に乗り入れるという重要な役割があるため、当たり前のことではありますが、とにかく珍しい存在です。

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1年間に数回しか見られないようなものではありませんが、平日の朝に限られた本数しか運転されないという条件があるため、撮影しようとするとやや苦戦します。
4000形はLEDの表示器を写すのが難しいため、そういった面でも苦労する条件が揃ってしまいました。

4000形が通勤急行で走る機会が少ない理由

千代田線に乗り入れることが前提にあるとはいえ、4000形が通勤急行で走る機会が少ないのは、どういった理由によるものなのでしょうか。
いくつかの理由が組み合わさっているため、それらを確認していきたいと思います。

まず、千代田線や常磐緩行線と相互直通運転をするのは、C11からC23までの13運用です。
4000形は全部で16編成ですから、前提としてほとんどの編成はこれらの運用に充当されています。

C11からC23までの運用の中に、通勤急行として走る列車があれば見る機会が生まれるわけですが、一切設定されていません。
つまり、通勤急行に充当される可能性がある4000形は、最大でも3編成しかないことになります。

3編成もあれば、そこそこ見られるように思いますが、実際には検査等で全編成が稼働していないことも多いため、1編成や2編成しか小田急線内の運用で走っていないこともあります。
母数が少なければ、見る機会が減るのは当然のことといえるでしょう。

相互直通運転に関係しない10両編成の運用は、E11からE38、E61からE72までの40運用が存在します。
通勤急行に入るのは9運用で、4本に1本程度は充当されることになりますが、それらの列車で4000形が走らないと見られません。
さらに、土休日は通勤急行の設定がないため、タイミングによっては充当されずに抜けてしまいます。

これらの前提を加味すると、1編成しか小田急線内の運用で走っていない場合、1日に1本でも充当されればよいほうで、全く走らない日のほうが多いということになります。
仮に3編成がフル稼働していたとしても、充当されない日は珍しくないため、どうしても見る機会が少なくなってしまうのでしょうね。

おわりに

色々な条件が重なり、通勤急行に充当される機会が少ない4000形。
見られれば嬉しい存在ですが、乗る際に当たってしまった場合には、車内が狭いという通勤には嬉しくない条件が加わるため、そう喜べないというのが皮肉な部分でしょうか。