箱根登山電車らしい車両はどれかと聞かれれば、現在も一部が現役で活躍する旧型車を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
残るは3両だけとなってしまいましたが、現在も箱根湯本駅から強羅までの間を行き来しています。

合計15両が製造された旧型車ですが、実際には3形式に分かれており、12両が現在までに廃車となりました。
既に過去帳入りした各号車は、それぞれいつ廃車されたのでしょうか。

3形式の旧型車両

ベルニナ号と呼ばれる1000形が登場するまで、箱根登山電車の見た目は比較的似通っていました。
どの車両も古風な外見をしており、現代では旧型車両と表現されるようになっています。

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かつては小田原駅にも頻繁に顔を出し、途中駅では小田急の車両とも交換するのが日常でした。
外見に大きな違いはありませんでしたが、出自が異なる3形式に分かれており、モハ1形、モハ2形、モハ3形が存在します。

形式が分かれている印象が薄い理由としては、各号車の番号が続いていることがあげられ、あまり意識することはないといえるでしょう。
各形式と号車の対応は以下のとおりです。

【モハ1形】
・101号(旧1号)
・102号(旧2号)
・103号(旧3号)
・104号(旧4号)
・5号
・106号(旧6号)
・107号(旧7号)

【モハ2形】
・108号(旧8号)
・109号(旧9号)
・110号(旧10号)
・111号
・112号

【モハ3形】
・113号
・114号
・115号

完全に番号は続きとなっており、各号車と形式を紐付ける要素はありません。
現在はモハ1形の104号と106号、モハ2形の108号が残っており、モハ3形は全車が引退済となっています。

各号車が廃車された時期

3形式の旧型車両は、1919年から1935年にかけて15両が造られました。
製造から100年以上が経過している車両があることに驚きますが、車体や機器類は交換等が行われているため、実際にはほぼ登場時と別の車両になっています。

経過した年数から見れば、比較的まとまった時期に登場している15両ですが、廃車は断続的に進められてきました。
規模が大きくない鉄道会社では、車両を一気に置き換えることが難しく、少しずつ世代交代を進めてきたということなのでしょう。

各号車が廃車となった時期は、以下のとおりです。

101号:2002年
102号:2003年
103号:2019年
104号:現役
5号:1926年
106号:現役
107号:2019年
108号:現役
109号:2021年
110号:2017年
111号:1991年
112号:1991年
113号:1985年
114号:1997年
115号:1985年

結果を見れば分かるとおり、新しい車両が先に廃車となっており、現在残る3両についても比較的若い番号です。
事故で廃車となった5号を除くと、1985年から断続的に廃車が進められてきたことが分かります。

廃車の順番に影響したと考えられるのは、111号以降が製造時から鋼製車体だったことです。
それ以前の車両は木造車体で登場し、後に鋼体化された経緯があったため、車体が新しいのは若い番号の車両だったことになります。
製造時から鋼製車体だった車両が1997年までに引退したのに対し、それ以外は2000年代に入ってからの廃車となっており、分かりやすい結果といえますね。

おわりに

3形式に分かれた15両は、長い年月をかけて置き換えが進められてきました。
残りは3両だけとなりますが、1日でも長く元気に活躍してほしいものです。