小田原から強羅までを結び、急勾配を登ることで有名な箱根登山電車。
途中の箱根湯本までは小田急のロマンスカーが直通運転し、新宿から乗り換えずに行くことができます。

そんな箱根登山線ですが、小田原から箱根湯本までの区間では、小田急の1000形が折り返し運転を行っており、以前はカラーリングを変えた専用編成が使われていました。
現在は小田急カラーの車両となりましたが、このままの状態でよいのでしょうか。

消えた赤い1000形

かつては新宿駅から急行が乗り入れた箱根登山線ですが、2008年のダイヤ改正以降は4両編成の各駅停車へと変わりました。
分割併合の廃止や、箱根登山線内のバリアフリー化が関係してのことでしたが、特急以外では乗り換えが必須となってしまう等、使いにくくなった面もあるといえるでしょう。

変更当初は新松田まで走る列車も比較的多くありましたが、後に一部を除いて小田原での折り返し運転に統一されました。
4両化当初は様々な車両が使われたものの、2009年にレーティッシュカラーとした1000形が専用編成として用意され、後に統一されることとなります。

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その後は赤い1000形として、箱根登山線内を走ることが日常となりますが、リニューアルが行われた編成と交代するタイミングで、小田急カラーへと戻ってしまいました。
2022年に最後の編成が引退して以降は、青い帯を巻いた車両のみとなってしまい、車両の面では小田急にしか見えない路線となっています。

小田急カラーのままでよいのか

赤い1000形として最後まで残った1058Fが引退してから、早くも2年半ほどが経過しました。
時が流れるスピードにはいつも驚かされますが、箱根登山線内に入る度に思うのは、今のままでよいのだろうかという点です。

ロマンスカーを使わずに箱根へと行く場合、小田原駅で待っているのは小田急の1000形です。
青い帯の車両から青い帯の車両に乗り換えるのは、どうも味気なく感じます。
以前は赤い色の車両に乗り換えて下さいといった案内がありましたが、それを耳にすることもなくなりました。

外国人の旅行者や、観光で訪れている人は多く、4両編成の車両はいつも混んでいます。
乗車すると、聞こえてくるのは外国の言葉ばかりで、どこの国にいるのかさえよく分からなくなるほどですが、だからこそこのままでよいのだろうかとも思うのです。
小田原駅で赤い車両が待っている状態は、到着時の気分を一気に高めてくれるもので、おもてなしという観点で考えれば十分すぎるコンテンツでした。

小田急のカラーリングではありますが、今も箱根登山線内で使用される編成は限定されています。
つまり、何らかの装飾をすることは運用上可能であり、輸送需要も回復した現在においては、そろそろやるべきタイミングともいえるのです。
小田原駅、箱根湯本駅で系統を分断している以上、乗り換えというデメリットをカバーする策が欲しいようにも思います。

もう一つの観点として、箱根登山線内ではまもなくワンマン化が予定されています。
案内をしやすくするという面でも、タイミングとしてはよさそうに思いますが、復活してくれたりしないでしょうか。

おわりに

同じ車両でありながら、カラーリングが異なるだけで気分を高めてくれた赤い1000形。
箱根登山線であることを分かりやすくするためにも、外見に何らかの差があるとよさそうですね。