新宿駅と江ノ島線を結ぶ列車種別として、2002年に登場した小田急の湘南急行。
3年に満たずに廃止となってしまいましたが、現在の主力である快速急行に発展するきっかけでもありました。

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江ノ島線内の停車駅が減る、そんな衝撃を利用者に与えた湘南急行について、登場時の印象を振り返ってみたいと思います。

改善が図られた江ノ島線の優等列車

湘南急行が登場する前の江ノ島線は、混んでいて遅いというイメージが抜けない路線でした。
線形がよいにもかかわらず、走っているのは各駅停車ばかりであり、急行は30分に1本程度しか走っておらず、時間を合わせなければなかなか当たらないという状況だったのです。

当時は分割併合が盛んに行われていたことから、江ノ島線内には4両の列車も多く走っており、各駅停車は今以上に混んでいました。
運よく急行に当たっても、江ノ島線内の停車駅がかなり多かったため、感覚的には遅いと感じたことを覚えています。

そんな江ノ島線に転機を与えたのが、2001年12月1日に登場した湘南新宿ラインという存在です。
湘南急行の登場が2002年3月23日であり、早くから湘南新宿ラインの情報はキャッチされており、対策が検討されていたということなのでしょう。

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写真提供:小田急指令掛川

こうして登場した湘南急行は、江ノ島線のイメージを大きく変えていくこととなりました。
学生時代に江ノ島線を利用していた私は、毎日忍耐の乗車だったため、湘南急行がその時からあればとうらやましく感じたものです。

登場当時の湘南急行は、新宿から藤沢までを最速57分で結び、遅い列車でも64分でした。
小田原線内の複々線化が進んでいなかったため、全体での時間短縮効果は限定的でしたが、江ノ島線内を快走するという変化は大きかったように思います。

湘南急行から快速急行への発展

分割併合が盛んに行われていた時代ながら、湘南急行は10両のまま江ノ島線内を走る列車でした。
混雑の緩和にも貢献しており、江ノ島線内におけるありがたい存在となります。

湘南急行の運行本数は、残念ながら1時間に2本程度でしたが、それに加えて6両の急行が設定されていたため、1時間あたりの優等列車は3本に増発されていました。
急行は6両で、町田駅との折り返し運転ではありましたが、優等列車が3本という状態には感動を覚えたものです。

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写真提供:小田急指令掛川

湘南急行が走った期間は長くありませんが、2003年のダイヤ改正では増発が行われました。
平日に12本、土休日に10本というもので、運転される時間帯も拡大されています。

江ノ島線の優等列車として、すっかり定着しつつあった湘南急行でしたが、2004年に大きな動きがありました。
小田原線内も停車駅を減らす快速急行が登場するため、ダイヤ改正をもって廃止されることになってしまったのです。
廃止とはいえ、実質的には快速急行に名称を変更し、発展的に吸収されたといえます。

快速急行はその後も歴史を歩み続け、現在は小田急の主力となる列車種別となりました。
小田原方面にも設定され、仕方がなかった面はありますが、湘南急行というネーミングがよい響きだったため、名称が消えてしまったのは今でも残念に思います。



写真を提供いただいた小田急指令掛川様は、数々の貴重な映像も撮影されています。
YouTubeにて公開中ですので、よろしければそちらもご覧下さい。

おわりに

江ノ島線の輸送改善に貢献しながらも、快速急行へと発展的解消をとげた湘南急行。
登場時の衝撃はなかなかのもので、小田急が変わっていくことに対して、わくわくする時代でもありました。