レールの上を走行する鉄道にとって、台車や車輪はなくてはならない存在です。
小田急の車両も例外ではありませんが、昔は車輪の直径が形式によって異なり、編成内でも混在しているケースがありました。

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現在は一般的な車輪径に統一された小田急の通勤型車両ですが、どのように変化してきたのでしょうか。

昔は異なっていた各形式の車輪径

現在小田急を走る通勤型車両の車輪径は、一般的な860mmとなりました。
車輪径は車輪の直径を示すものですが、走行していると摩耗が生じてしまうことや、削正と呼ばれるメンテナンスが行われるため、徐々に小さくなっていきます。

既に過去のこととなりましたが、小田急では形式によって車輪径が異なる時期がありました。
形式で異なるだけではなく、編成内でも違う車輪径という場合があり、一時期の小田急における特徴だったともいえます。

全形式のデータを揃える必要はないため、今回は高性能車が登場して以降の通勤型車両を見ていきたいと思います。
以下は形式ごとの車輪径で、括弧内は制御車だけが異なる場合を示します。

2200形:860mm
2300形:860mm
2220形:860mm
2320形:860mm
2400形:910mm(762mm)
2600形:910mm(762mm)
4000形:910mm
5000形:910mm(762mm)
9000形:860mm
8000形:860mm

結果はこのようになっており、1000形以降の形式は860mmが並ぶだけなので割愛しました。
2200形は860mmを採用しつつも、2400形ではデハとクハで異なる車輪径とされており、2600形、5000形と続いています。

2400形において、編成内で異なる車輪径となったのは、粘着係数の関係でデハを重く、クハを軽くする必要があったためで、車体の長さを変えるだけではなく、車輪についても同様とされたものです。
台車自体も軸距が異なっており、設計に相当な工夫があったことをうかがわせます。

この流れは2600形や5000形でも続きますが、9000形以降は一般的な860mmに統一されました。
4000形だけは例外となっており、編成内で同じ車輪径とされながらも、910mmが採用されています。

車輪径による通過音の違い

外から見る場合において、車輪径の違いを意識することはほぼなかったものの、台車を見れば分かるぐらいの差はありました。
クハの台車を見ると、明らかに他よりも小さいことが分かり、小田急らしさを感じるアイテムでもあったように思います。

車輪径の違いを感じたのは、見た目以上に音でした。
クハの車輪が軽く、デハの車輪が重いため、ジョイント音には明らかに違いがあり、クハが高く、デハが低くなります。

昔は異なる形式の車両を繋ぐことが多かったため、通過時には様々なパターンのジョイント音を聞くことができたものです。
そんなことを気にしていた人がどれぐらいいるかは分かりませんが、なかなか興味深い音の違いでした。

おわりに

通過時の音に違いを生む等、一時期の小田急らしさにもなっていた車輪径。
今の通勤型車両はそんな差もなくなってしまいましたが、技術の進歩がそうさせたといえるのかもしれませんね。