最盛期より勢力が半減しつつも、まだ多くの編成が現役で活躍する小田急の8000形。
西武への譲渡等が始まっていますが、廃車のペースは以前よりも明らかに落ちています。

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譲渡が決まっていることから、6両編成の廃車は断続的に続くとみられますが、見通せないのが4両編成です。
3000形とも併結が可能な4両編成は、今後どうなるのでしょうか。

重宝されているようにも見える4両編成

8000形の廃車が始まってから、早くも5年の月日が流れました。
断続的に5000形への置き換えが進められてきましたが、現在も多くの編成が最前線で活躍しており、最低でも数年は元気な姿が見られるように思います。

そんな状況下で気になるのが、西武への譲渡は行われない4両編成です。
6両編成と比較した場合、リニューアルが遅かったことや、3000形とも併結が可能という違いがあり、最近はそんな特性が重宝されているようにも感じます。
西武で6両編成がこれからも走ることを踏まえれば、4両編成はまだまだ走れなくはない状態ともいえそうです。

コロナ禍において、小田急は保有車両数を減らす方針を打ち出し、それに合わせてダイヤも減便を軸とした見直しが行われました。
増備される車両に対して、廃車のほうが上回る状況がしばらくは続きましたが、2024年度あたりからは明確に変化が生じています。
ダイヤも多少の増便傾向となっていることから、利用状況を踏まえた何らかの計画変更が発生している印象です。

廃車時期が後ろ倒しにされている可能性

8000形の4両編成については、多くが定期検査を通されたという実態があり、短期的な大量廃車は想定しにくい状況となっています。
以前よりも廃車時期が後ろ倒しされているように感じており、しばらくは一部を活用するのかもしれません。

小田急は新宿駅の再開発で大規模な投資を行っていますが、近年は建築資材の高騰が続いており、その影響は車両への投資計画にも及ぶ可能性があります。
実際に京王は工事着工の見通しが立たず、工期を未定とする発表が行われたばかりです。
8000形の4両編成は、まだ使える車両という見方もできるため、このような状況下で廃車するのは得策ではないのかもしれません。

そのような中では、大きく手を入れていない2000形や3000形の存在が気になります。
機器も特有のものが使われていたりしますが、後者はともかくとして、2000形は車齢も30年を超える編成が出てきました。
8000形よりも先に、2000形の一部編成が廃車となる可能性さえ、否定はできないように思います。

この問題については、そう簡単でもないのが難しいところで、結局のところ5000形に6両や8両の編成が造られるのかというのが、今後の鍵となりそうです。
保有車両数を増やしすぎず、多少の増便をしていくとした場合、8両編成への回帰は必ずしも否定しにくい状況となってきました。

そんなことを考えていると、8000形の4両編成という存在が、意外にも都合がよいことに気付きます。
後先が長くない3000形の初期車と組ませて10両で走らせ、老朽化が進む2000形を先に置き換えることができるためです。
8000形の4両編成と3000形の初期車は、セットで10両固定編成に置き換えればよいため、そんな可能性もあるのではないでしょうか。

取り外した機器を補修用に確保できることを踏まえれば、廃車となる形式が入り乱れることもありえます。
前例とは異なるような、そんな展開になるような気がしてなりません。

おわりに

廃車のペースが落ちてきたことで、展開が読みにくくなってきた小田急の車両計画。
1000形の半数が廃車になっていることを踏まえれば、形式が入り乱れる展開は既に始まっているともいえそうです。