全ての駅に急行が停車するようになり、ダイヤ改正の前後で大きく変化した小田急の多摩線。
日中は急行しか走っていない時間もあり、線内を折り返し運転する各駅停車は、すっかり脇役になった印象です。

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そんな多摩線ですが、ダイヤ改正を境に各列車種別の本数はどう変化したのでしょうか。

ダイヤ改正前の状況

多摩急行の登場により、2002年から優等列車の運行本数が一気に増えた多摩線ですが、近年は新百合ヶ丘駅で列車種別を変更することで、日中を中心に各駅停車の割合が増加しつつありました。
全体の本数も減便傾向となっており、利用実態に合わせる調整が進められてきたように思います。



2024年時点においては、平日に135本、土休日に125本程度が運行される路線となり、10分間隔の時間帯が増えていました。
新百合ヶ丘駅で急行から各駅停車に種別を変更する列車は多かったものの、そうではない急行も走っていたため、利用者の立場からすれば分かりにくかったといえるでしょう。

ダイヤ改正後にどう変化したのか

多摩線内を通過運転する列車が減ってきたこともあってか、2025年のダイヤ改正で小田急は急行の停車駅変更を行いました。
内容は多摩線内の全駅を急行停車駅とするもので、この変更により新百合ヶ丘駅での種別変更は不要となります。

急行のまま多摩線内を走っていた列車についても、ダイヤ改正後は全駅に停車するようになっていますが、これにより一部の各駅停車については削減が行われました。
ダイヤ改正の前後でどのような変化があったのか、列車種別ごとの本数を確認してみたいと思います。

以下はダイヤ改正後の列車種別ごとの本数で、増減は括弧内に記載しました。

【上り(平日)】
各駅停車:52本(-55本)
急行:57本(+39本)
通勤急行:9本(変化なし)
快速急行:0本(変化なし)
合計:118本(-16本)

【下り(平日)】
各駅停車:60本(-50本)
急行:62本(+40本)
通勤急行:0本(変化なし)
快速急行:5本(+1本)
合計:127本(-9本)

【上り(土休日)】
a各駅停車:45本(-63本)
a急行:64本(+50本)
a通勤急行:0本(変化なし)
a快速急行:2本(変化なし)
a合計:111本(-13本)

【下り(土休日)】
各駅停車:43本(-65本)
急行:65本(+50本)
通勤急行:0本(変化なし)
快速急行:0本(変化なし)
合計:108本(-15本)

当たり前ですが、各駅停車が大きく減少し、急行がその分増えるような変化となっています。
全体の本数も減っており、1日あたり10本から15本程度が減便され、以前書いた記事で想定していたとおりの結果でした。

興味深いのは平日の上り列車で、16本もの列車が削減され、下り列車との本数差が大きくなっています。
上りは特定の時間帯に集中しやすいことから、そのあたりの実態を反映したのかもしれませんね。

おわりに

全駅を急行停車駅化することで、列車の本数を調整した多摩線。
本数自体は減ってしまったものの、以前より使いやすくはなっている印象で、上手にダイヤを組んだように感じました。