本厚木駅と伊勢原駅に挟まれ、駅自体も厚木市と伊勢原市の市境にある小田急の愛甲石田駅。
特急以外は通過運転をしない区間にあり、快速急行以下の全列車種別が停車します。

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愛甲石田駅は1987年に橋上駅舎が完成し、現在の姿となっていますが、どのような流れだったのでしょうか。

橋上駅舎化前の愛甲石田駅

改良工事が行われる前の愛甲石田駅は、地上に駅舎が設けられていました。
そこまで規模が大きくなく、古くからある駅舎を拡張しつつ使用していたようです。

地上時代の駅舎は南口側にあり、国道246号線とは逆側がメインだったことになります。
神奈川県道604号愛甲石田停車場酒井線に面しており、今も道路の形状が当時を伝えている状態です。

駅舎と繋がるように、小田原方の端に上下線のホームを繋ぐ跨線橋があり、その部分にのみ最低限の上屋が設けられていました。
当時は利用者が増加を続けている時期でしたが、ホームは今よりも狭く、手狭になりつつあったといえます。

そのような中で、1986年度に駅の改良工事が始まりました。
内容は橋上駅舎化と南北を結ぶ自由通路の新設で、合わせてホームの拡幅も行われることとなります。

橋上駅舎化の過程で行われたこと

改良工事は始まったものの、利用者の増加が完成を待っていられない状況だったのか、北口には着工後に臨時改札口が設けられました。
平日の午前7時から8時30分まで開設されるもので、当時は多くの駅で見られたものです。

臨時改札口の設置は、朝のラッシュ時に直接上りホームに入れるようにするためで、踏切や跨線橋の混雑緩和を図ったものと思われます。
北口側からは一度踏切を渡って改札を通り、下りホームを経由して跨線橋を使う必要があったため、臨時改札口の効果は大きかったことでしょう。

橋上駅舎化は、厚木市による北口広場の整備事業と合わせて進められました。
完成は1987年12月24日のことで、北口側はそのまま歩道橋と繋がるスタイルとなっています。
階段部分にはエスカレーターが設置され、当時としては先進的な設備を備える駅となりました。

改良工事に付随する事柄としては、自由通路が完成したことに合わせ、本厚木22号踏切が廃止されています。
ホームの新宿方を出てすぐの場所にあった小さな踏切で、現在も上下線の両側に細い道が残っており、行き止まりとなっている状態が当時の名残です。

おわりに

橋上駅舎化を通して、愛甲石田駅は利用しやすい駅へと生まれ変わりました。
完成から40年近くが経とうとしていますが、基本は当時と変わっておらず、適切な改良ができたということなのでしょうね。