中期経営計画内において、新宿駅から向ヶ丘遊園駅間でのワンマン運転に言及した小田急。
2030年頃に試験運用を開始すると記されており、そう遠くない未来での開始が想定されています。

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小田急初の都市型ワンマン運転となることが想定されますが、どのようなスタートになるのでしょう。

ワンマン運転開始に向けた整備

2025年度内に箱根登山線内でワンマン運転を開始する小田急ですが、続く導入は新宿寄りの区間であることが分かりました。
具体的には、新宿駅から向ヶ丘遊園駅までとなっており、10両編成の列車が多くを占める区間となっています。

新宿駅から向ヶ丘遊園駅間は、2028年度までにホームドアが全駅に整備される予定の区間であり、ワンマン運転を見据えているものと思われます。
小田急において、車掌がいない状態で駅から10両編成の列車を発車させるとなれば、ホームドアの整備は必須事項といえそうです。

ワンマン運転を行うには、駅側の整備だけではなく、車両においても今後準備が必要となります。
ドアの開閉や車内の確認用として、カメラやモニターの設置が行われるものと思われますが、車外の映像をどのように取得するかは気になるところです。
箱根登山線内を走る1000形のように、車両側にカメラを設置するのか、それともホーム側のカメラを使うのか、どちらになるのでしょうか。

小田急においては、常磐緩行線でワンマン運転を行うため、4000形にのみ対応した機器が搭載されています。
当然のことながら、東京メトロやJR東日本の車両も同様であり、同じシステムを最大限活用する方向になるのではないでしょうか。

もう一つ気になるのは、千代田線と常磐緩行線において使用されているATOの存在です。
小田急はATCを導入していないため、簡単には導入できないと思われ、停車以外の運転操作をしながらのワンマン運転となる可能性が高そうです。

考えられるスタートのパターン

2030年頃からとされるワンマン運転の試験運用ですが、どういったものが考えられるのでしょうか。
ロマンスカーは対象外となりそうなことや、いきなり全ての列車で行うとも考えにくいため、まずは実施する列車を絞るものと思われます。

一部の列車での実施となれば、やはり可能性が高いのは千代田線との直通列車でしょう。
しかし、新宿駅から代々木上原駅までも対象区間になっていることを踏まえれば、直通列車だけではなさそうです。

車両側に対応した機器が必要であることから、各駅停車に絞って始めるという可能性もありそうです。
専用の編成を用意し、新宿駅から向ヶ丘遊園駅までを往復し続けるようにすれば、運用も比較的しやすいでしょう。
向ヶ丘遊園駅において、車掌が出入りするパターンもありえなくはないですが、ダイヤが乱れた際の混乱を考えると、避けそうな気がします。

時間帯についてはどうでしょうか。
ラッシュ時の快速急行等を見ていると、ワンマン運転は厳しそうにも思いますが、いつかは導入しなければならないでしょう。
一方で、スタートの段階から必須ではないことから、日中のワンマン運転から始める可能性もありそうです。

試験運用という表現が気になるところですが、あと5年程度で全ての車両をワンマン運転に対応させられるのかといえば、さすがに厳しいと考えられます。
対応した車両が限られるとなれば、運用を限定する可能性が高くなるため、まずはミニマムスタートになるのではないでしょうか。
まずは車掌を乗せた状態でという可能性も否定はできませんが、要員不足が背景にあることを踏まえれば、現実的ではないかもしれませんね。

おわりに

区間を限定し、特定の車両にのみ対応した機器を搭載すると仮定した場合、ワンマン運転を行う列車はパターン化されそうです。
ダイヤが乱れた場合のことも想定しなければならず、小田急での導入は様々な困難が伴うものとみられますが、どのような未来となりますでしょうか。