20両だけが未更新のEXEとして残り、2028年度に登場予定の新型ロマンスカーに置き換えられることが想定される小田急30000形。
リニューアルによってEXEαとなった編成とは異なり、登場時からのカラーリングを維持する各編成は、貴重な存在となっています。

このまま廃車まで使われると思われていたEXEですが、最近になってLED表示器のフルカラー化が行われました。
なぜこのタイミングでと思う事象ですが、いったいどのような事情があると考えられるのでしょうか。

2編成のLED表示器をフルカラー化

6月5日のことでしたが、今までの姿とは少し異なるEXEが走り始め、小田急ファンの間で騒ぎになりました。
廃車までのカウントダウンが始まっているEXEに対して、LED表示器の交換が行われ、今まで3色だったものがフルカラー化されたのです。

LED表示器の交換を行ったのは、4両編成の30055Fと6両編成の30255Fで、10両編成となる際にペアを組む2本となります。
交換は海老名検車区内で行われたようで、原色のカラーリングでフルカラーのLED表示器という、新しい形態が生まれました。

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LED表示器の交換後はこのような姿となっていますが、前面については使用されない状態となりました。
推測ではありますが、従来の表示器がそのまま入った状態で、使用停止になっているものと思われます。

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交換が行われた側面については、このような状態で表示されるようになりました。
従来の表示は、列車の愛称と行先を同時に表示するものでしたが、交換後は交互に表示するようになっています。
これはEXEαと同じとなっており、表示を制御する機器も合わせて交換されたのでしょう。

LED表示器の交換は車内でも行われており、妻面に設置された案内用のものがフルカラー化されました。
3000形等で行われている交換と似ており、3色のタイプが既に製造されていない等の理由で、フルカラーにせざるを得なかったものと思われます。

前面の表示器が使用停止になってしまったのは残念ですが、表示を制御する機器がEXEαと同等品であれば、そもそも使用できないという可能性が高そうです。
表示する機能自体がなければ、EXEのためだけに改良を加えるのは非効率であり、使用を停止するしかなかったのでしょう。

LED表示器をフルカラー化した理由を考える

廃車が近付く中で行われたLED表示器の交換ですが、3000形等で行われている対応とは事情が異なると考えられます。
発表どおりであれば、あと3年ほどで引退となる可能性が高い車両に対して、交換を行うことは不自然といえますが、どういった理由なのでしょうか。

最も可能性が高いのは、予備の部品等が枯渇してしまい、交換するしかなくなったという理由です。
当然のことながら、リニューアルの際に取り外したもの等も活用しつつ、今日まで使用してきたものと考えられますが、製造から30年近くが経過した車両であり、交換部品の確保は難しくなっていると考えられます。

このような状況であれば、EXEαと同等品を使う交換は合理的であり、廃車後も予備品としてストックできるため、無駄がないといえるでしょう。
最低限の交換であれば、4両か6両のどちらかでよさそうに思いますが、併結を行う関係でそれができず、10両分の交換を行ったものと思われます。
今回外した機器については、30057Fと30257Fの予備品にもできるため、交換は10両だけで終わるかもしれません。

もう一つ気になることとしては、EXEをさらに延命して使う可能性です。
EXEは新型ロマンスカーによって置き換えられる予定ですが、特急は増発の可能性も触れられており、2028年度に引退しない可能性もあります。
引退時期の予定はあるのでしょうが、数年後であれば状況は変化することもあり、想定より長く使う展開もありえるかもしれません。

60000形(MSE)との関係も気になります。
登場から年数が経過し、そろそろリニューアル等の手を入れる時期が近付きつつあり、その際の予備車が必要な事情もありそうです。
さすがにEXEが古くなりすぎる気はしますが、どうなりますでしょうか。

おわりに

廃車が近付く中でLED表示器が交換され、新たな形態が生まれてしまったEXE。
同じく未更新で残る30057Fと30257Fについては、今のところそのままとなっていますが、こちらがどうなるのかも気になるところです。