特急用の車両として、全国的な知名度を誇るロマンスカーを運行する小田急。
これまでに様々な車両が登場し、沿線に話題を提供してきました。

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観光利用という要素を持つロマンスカーにとって、前面の展望席が重要な要素となっているのはあまりにも有名ですが、今回は多くの乗客が接する側窓に着目します。
歴代の車両における側窓は、どのような進化をしてきたのでしょうか。

ロマンスカーと側面の窓

新型車両として70000形(GSE)が登場する際、全体的に拡大された窓の大きさが話題となりました。
前面展望席の大きな窓もインパクトは抜群ですが、曲面ガラスを採用しつつ、高さを拡大した側窓にはかなり驚かされたものです。

歴史を巻き戻し、ロマンスカーの名を世に知らしめた、3000形(SE)に触れてみましょう。
SEはその後のロマンスカーとは異なり、開閉可能な窓を採用していました。
登場時は非冷房だったことによるものですが、後に改造されて固定化され、現在保存されている車両はその姿ということになります。

3100形(NSE)以降は固定窓となり、基本的には横方向に長い窓が採用されてきました。
徐々に大きくなる傾向ではありましたが、形式ごとに個性が見られるところでもあり、なかなか興味深い変遷となっています。

10000形(HiSE)からの車両では、連続した窓に見えるように設計され、今日まで続いてきました。
処理方法も回を重ねるごとに進化しており、よりスマートに見えるようになっています。

各形式の側窓サイズ

実際に側窓のサイズがどのように変化してきたのかを知るには、やはり寸法を比較して見るのが分かりやすいでしょう。
同じ車両内にサイズが異なる窓がありますが、今回は各形式ごとに代表的なサイズのものをピックアップしたいと思います。

以下は各形式における側窓の寸法で、横幅×高さとしました。

3000形(SE):700mm×700mm(固定化後は680mm×650mm)
3100形(NSE):1,600mm×750mm
7000形(LSE):1,600mm×800mm
10000形(HiSE):1,600mm×900mm
20000形(RSE):1,600mm×900mm
30000形(EXE・EXEα):1,600mm×900mm(外寸は1,600mm×1,250mm)
50000形(VSE):4,000mm×700mm
60000形(MSE):1,766mm×700mm
70000形(GSE):1,710mm×1,000mm

公表されている図面等を参考にまとめていますが、20000形、30000形、60000形の高さについては、図面の比率から割り出しているため、推測値となります。

NSE以降、ワイドな側窓が採用され続けており、EXEまでは高さの拡大を続けていたことが寸法から分かりました。
面白いのは、900mmで一旦限界に達したのか、EXEは外寸だけを1,250mmにして大きく見せており、工夫を加えて変化をつけています。

岡部憲明氏が携わるようになったVSE以降は、横幅を広げる傾向が顕著に出ている反面、高さを抑えるようになったことが分かります。
車体を長く見せるためなのだと思いますが、GSEでは歴代で最も高さがある窓となり、大きく印象が変化しました。

おわりに

車両を横から見た際の印象にも直結し、形式によって異なっているロマンスカーの側窓サイズ。
やがて登場する新型ロマンスカーでは、どのようなサイズとなるのでしょうね。