近年は夏季の脱帽等が動きとして広がっていますが、鉄道の乗務員といえば制服を着た姿を思い浮かべるものでしょう。
制服に加え、白い手袋をした姿も定番であり、小田急の乗務員についても当然そのような姿となっています。

そんな手袋ですが、以前は運転士が軍手を着用して乗務していました。
軍手から手袋になったのはいつのことだったのか、貴重な情報を元に振り返りたいと思います。

運転士が着用していた軍手

現代において、小田急の運転士は白い手袋を着用して乗務しています。
清潔感がある手袋ですが、汚れや日焼けの防止といった衛生面や、挟まれたりすることや滑ることを防止する安全面等、着用には様々な理由があるようです。

小田急の運転士が昔は軍手を着用していたのは知っていましたが、そんなに深く考えたことはありませんでした。
それを記事にすることになったのは、長年の小田急仲間であるくみちょ氏より、X上でリクエストをもらったことがきっかけです。
多くの写真を調査する必要があり、途方もない苦労を伴うリクエストでしたが、冗談を装いつつ本気にも見えるという、いつもの流れに乗ることにしました。

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古い写真を漁ってみたところ、2000年前後に軍手で乗務する姿を撮ったものがありました。
意図して軍手を撮ったものではないのですが、結果的に貴重な記録として残ったことになります。

ここまでアップになっていれば、それが軍手であることは判別が容易ですが、運転士が写っている程度の場合には、それが軍手か手袋を判別するのは困難です。
さすがに時期の特定は無理かなと思っていたところ、X上で貴重な情報をお寄せいただきました。

困難な調査に光を与えて下さったのは、オフィスハマサキの代表を務めるはまー氏です。
説明するまでもなく、小田急の元運転士、TRAINSの生みの親であり、現在はファンづくりに特化したコンサルティング業をされています。

軍手から手袋に変わったのはいつだったのか

早速ですが、小田急の運転士が着用する軍手が手袋に変わった時期について、貴重な情報を元に確認しました。
情報によると、2005年3月15日までが軍手だったとのことで、時期を通り越して具体的な日付の情報です。
この時期といえば、19日に50000形(VSE)のデビューが控えており、タイミングとしても違和感はありません。

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変わったとされる3月15日の2日前、13日に撮った写真に指差喚呼の様子が写っていました。
縮小しているので分かりにくいですが、元の写真では手袋と比較してやや膨らんでおり、軍手の可能性が高いと思われます。
15日を過ぎた後の写真を探したところ、21日に撮った写真では手袋が写っていたため、納得の結果となりました。

軍手に関するエピソードも頂戴し、着用には感電防止という意味があったそうです。
手首のところで折り返す派と折り返さない派がいたそうで、元運転士ならではのなんとも面白い情報もいただきました。

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色々と探してみたところ、たまたま交代時の様子が写っている写真の中に、折り返す派の軍手を発見しました。
たまたま撮っていた過去の自分に感謝するところですが、知らなければ気付くこともなかったでしょう。

例外もあったそうで、特急に乗務する際は、白い手袋をする方もいたとのことです。
また、当たり前といえばそうですが、切り替え後も構内運転士の方は軍手をしている姿を確認しています。

おわりに

軍手から手袋に変わってから、既に20年以上の歳月が流れていました。
最後となりますが、素敵なきっかけをいただいたくみちょ氏と、貴重な情報の提供と記事化にご快諾いただいたはまー氏に対し、この場を借りて深く御礼申し上げます。