建設中の歩道橋が徐々に姿を現し、登戸1号踏切の廃止が近付きつつあることを実感する向ヶ丘遊園駅。
小田急は代々木上原駅から複々線となり、登戸駅で終わっている状態ですが、向ヶ丘遊園駅までは上り線のみが緩行線と急行線に分かれ、暫定的に3線となっています。

歩道橋は3線となっている区間内に設けられますが、将来的な複々線には対応可能なのでしょうか。

幅は広めになっている印象の歩道橋

2025年度内に登戸1号踏切を廃止するため、向ヶ丘遊園駅の新宿方では歩道橋の整備が進められています。
エレベーターも備えた立派なものが造られていますが、あくまでも暫定的な設置とされており、将来的には撤去する可能性を否定していません。

小田急の複々線は、新百合ヶ丘駅までの計画が存在しており、相模大野駅までも構想として存在しました。
計画上は向ヶ丘遊園駅も高架になる想定となっており、歩道橋が暫定的な整備とされているのは、これが理由であると考えられます。

整備が進められるにあたって気になるのは、向ヶ丘遊園駅までを複々線化するとした場合に、4線分の線路を配置できるのかという点です。
新百合ヶ丘駅までの高架複々線化は現実的ではないものの、区画整理によって用地が生まれた状況を踏まえれば、向ヶ丘遊園駅までの線増はできなくないといえます。

歩道橋自体は、向ヶ丘遊園駅に待避線があるため、かなり広い幅で架かっていますが、実際にはどのぐらいの幅まで線路を配置できそうなのでしょうか。
精度は荒いことは承知の上で、Googleマップで測定してみたところ、21m程度はありそうに思います。
複々線区間内の幅が18m程度なので、意外と広いのかもしれません。

複々線化には対応できるのか

暫定的に3線の状態で整備され、向ヶ丘遊園駅の線形も歪になっていますが、下りの緩行線を追加することはできるのでしょうか。
歩道橋の配置がどうなっているかで、向ヶ丘遊園駅を地上に配置したまま、線増を行えるかどうかが分かるため、やはり現地を観察していて気になった部分でした。

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登戸1号踏切から駅の方向を見ると、このような状態です。
警報柱に隠れている位置にも構造物が存在しますが、4番ホーム側の線路はもう少し外側に振れるものと思われます。

本来の位置には線路を配置できないように見えますが、ホームの位置を動かせば、歩道橋を造った後の状態でも、複々線化自体は可能に見えました。
3線となっている区間は、複々線化時の本来の線路から1本ずつ下り線側になっており、それがホームの形状を歪にしているのですが、そこを直せば4線を並べられそうに思います。
いずれにしても、ホームの配置を工夫して狭くすれば、線増自体はできそうであり、ホームドアの設置が予定されていることを踏まえれば、その可能性も否定はできません。

気になるのは、2030年頃から試験運用をするとされるワンマン運転です。
新宿駅から向ヶ丘遊園駅までを対象区間としており、これに関連して何らかの動きがあるかもしれません。
仮に各駅停車が向ヶ丘遊園駅までを基本とする運用になれば、ワンマン運転は行いやすくなるでしょう。

関連があるかは不明ですが、小田急は2026年度の鉄道事業における設備投資額について、604億円とする計画になっています。
2025年度と比較して168億円も増えていますが、これはいったい何を意味するのでしょうか。
伊勢原に建設される総合車両所の関連のような気はしますが、未来の小田急を考えていくうえで、気になることがあまりにも多い状況といえそうです。

おわりに

歩道橋の建設後において、複々線化が可能な状態とされるのかどうか、完成が近付けば見えてくるように思います。
いずれにしても、地上にホームがある時点で複々線化されたとしても仮でしょうから、できないことはないという状態に整備される可能性が高いように思いました。