リニューアルの際に組み替えや廃車が行われ、現在は消滅してしまった小田急1000形の6両編成。
ワイドドア車を除けば、最盛期には6編成が在籍していましたが、今も残るのは10両固定編成化された車両のみとなっています。

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10両化を強く推進する時期に重なり、先頭車の中間車化を行いつつ、途中で10両化が中止となった経緯が1000形にはありますが、6両編成を残したほうがよかった可能性について考えてみたいと思います。

中途半端に終わった1000形のリニューアル

2014年度から開始された1000形のリニューアルは、編成数が多い4両から進められました。
3000形の6両と組み、10両で運行することが念頭にあったものと思われますが、8000形とは違い8両でも運行可能な仕様となっています。

リニューアルが進むと、元々10両を組んで走ることが多かった4両と6両は、先頭車を中間車化することで、10両固定編成とする改造が行われることとなりました。
この流れの中で1095Fと1096Fが登場しますが、この2編成のみで中間車化を伴う改造は終わってしまいます。
何らかの事情により、先頭車を中間車化してまで10両化をするメリットが薄れ、方針転換が図られたのでしょう。

最終的には、1000形のリニューアル自体が途中で中止され、一部は廃車という運命を辿ることとなりました。
廃車の過程で中間車化をしない10両固定編成も組まれ、各編成から寄せ集めた車両を活用し、1097Fも登場しています。

6両編成を残した場合に予想される未来

リニューアルが途中で中止され、4両と10両に再編された1000形ですが、中途半端な存在となってしまった印象は拭えません。
結果論ではありますが、中間車化をせず、全編成をリニューアルしないことを前提にした場合には、6両編成を6本のまま残したほうがよかったように思います。

2022年のダイヤ改正において、小田急は町田以西を走る6両の急行を増やしました。
コロナ禍を経た需要の変化に対応したもので、賛否両論がある部分ではありますが、結果として6両編成の車両を活用するシーンは増えたことになります。

6両編成の主力である3000形は、3251Fから3277Fまでの27編成が在籍しており、現在はこれに8000形で残る編成も加わります。
8000形は10両で走ることが基本で、遠くない将来に引退することを踏まえると、最終的に6両は3000形のみになる可能性が高いでしょう。
一方で、6両が単独で走る運用は24となっており、3000形の編成数だけではやや苦しいともいえます。

このような現状を踏まえた場合、1000形の10両固定編成化は行わず、6両編成をそのままの状態でリニューアルしていれば、全編成の貫通化は達成できませんが、柔軟性の面で重宝したように思うのです。
そして、4両編成を追加で5本程度造って合計を12本にしておけば、普段は4両と6両を繋いだ10両を6本、4両を2編成繋いだ8両を1本、箱根登山線に4両単独で4本とできました。

柔軟性に乏しい現状からすると、多少の無駄はありそうなものの、運用はしやすそうに思います。
リニューアルが始まったのは10年以上前ですが、さすがにこの未来は予想できなかったのでしょうね。

おわりに

固定編成化を進めたことで、最近は車両のやり繰りに少し苦労している印象があります。
どこかのタイミングで6両編成の新造がありそうですが、いつのことになるのでしょうか。