代々木上原駅付近を分けて考えれば、小田急で最初に複々線化が行われたともいえる狛江地区。
喜多見、狛江、和泉多摩川の3駅が高架化され、多くの踏切が除去されることとなりました。

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同時に造られたこともあり、これらの3駅は似ている部分がありますが、なぜか喜多見駅だけは上屋の形状が大きく異なります。
あえて喜多見駅だけが異なる形状とされたのには、どんな意味が込められていたのでしょうか。

アーチ状の上屋が特徴の喜多見駅

小田急における本格的な複々線化は、狛江地区からスタートしました。
これには地域との関係が良好だったことが寄与しており、起点側から進めていくのではなく、あえてスムーズに進む地域から着手するというものでした。

初期の複々線化では、喜多見、狛江、和泉多摩川の3駅が高架化され、2.4kmが対象区間とされています。
距離としてはそこまで長くはないものの、高架化により開かずの踏切問題は解消し、ダイヤにも多少のゆとりが生まれました。

高架化に伴い、3駅は仮設駅へと切り替えつつ工事を進め、最終的に全てが新築されています。
同時期に造られたことから、似たようなデザインとはなっていますが、喜多見駅だけは他の2駅と上屋部分が大きく異なるものとされました。

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ホームドアが設置された現在の喜多見駅ですが、アーチ状になった上屋が特徴的です。
上下線のホームを繋ぐ鉄骨部分もカーブを描いており、丸く空いた穴も含めて印象に残るものとなりました。

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場所を移して和泉多摩川駅の様子ですが、こちらは上屋の形状が異なり、一般的な直線状のものとなっています。
これは狛江駅も同様であり、同時期に複々線化されながらも、喜多見駅だけ上屋を中心にデザインが異なる仕上げとなりました。
当時は喜多見駅だけが異なるのが不思議でしたが、その意味は後々分かることとなります。

世田谷区内の駅で統一された駅のデザイン

3駅の中で、上屋のデザインが他とは異なる喜多見駅ですが、所在地が世田谷区内であるという点が、他の2駅との違いです。
喜多見駅は世田谷区、狛江駅と和泉多摩川駅は狛江市にあり、それが駅舎のデザインに影響を与えています。

狛江地区に続き、世田谷地区で複々線化が進められていきますが、その際には5駅が高架化されました。
梅ヶ丘、豪徳寺、経堂、千歳船橋、祖師ヶ谷大蔵の各駅が該当します。

これらの各駅を見ていくと、喜多見駅と同様に上屋がアーチ状となっており、世田谷区内の高架駅として統一されたものとなっています。
つまり、喜多見駅は先行してアーチ状の上屋を採用し、世田谷区内でデザインを統一することになっていたわけです。

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高架区間の始まりとなった梅ヶ丘駅ですが、喜多見駅と同じアーチ状の上屋となっています。
最初は喜多見駅だけが異なっていたように見えたデザインでしたが、それにはきちんとした意味がありました。

おわりに

駅のデザインに統一感を持たせるため、アーチ状の上屋を採用した世田谷区内の各駅。
最初の3駅だけで見れば異質な喜多見駅でしたが、続いて高架化された駅のデザインにより、込められた意味が分かることとなりました。