鉄道車両の常識にとらわれない設計が行われ、ロマンスカーのフラグシップとして活躍した小田急の50000形(VSE)。
建築家の岡部憲明氏によってデザインされたVSEは、過去の伝統を引き継ぎつつも全く新しい車両に仕上げられました。

20250914_02

そんなVSEですが、特徴の一つとして前後シンメトリーがあげられます。
見た目の面では当然左右対称となりますが、各号車の重さはどうなっているのでしょうか。

前後シンメトリーとなっているVSE

連接車のロマンスカーといえば11両編成というのが、3100形(NSE)以来の伝統でした。
VSEは伝統の連接車を採用しつつも、両数については10両とされ、こんなところにも新しい要素が盛り込まれています。

岡部憲明氏がVSEをデザインするにあたっては、安定感を持たせるために左右対称とすることが提案され、その結果として10両編成の連接車が誕生しました。
編成全体で見た場合、前後シンメトリーとなるようにVSEは造られており、横から見た姿は確かに安定しているというか、デザインとしてのこだわりを随所に感じる仕上がりとなっています。

VSEを横から見ると、1号車から5号車と、6号車から10号車が対称になっており、外見の面では間違い探しかと思うぐらい違いがありません。
このようなデザインを、10両編成の車両で実現したことには、相当な苦労があったものと思われます。

各号車の重さはどうなっているのか

前後シンメトリーとなっているVSEですが、完全に左右対称となっているのであれば、重さも揃うのではないか、そんなことを思って調べてみることにしました。
まずは各号車の自重を一覧化し、確認してみることとしましょう。

以下は各号車の自重を示したもので、小田原寄りの1号車から記載しました。

1号車(デハ50900):29.9t
2号車(デハ50800):24.6t
3号車(デハ50700):25.6t
4号車(デハ50600):25.5t
5号車(デハ50500):24.3t
6号車(デハ50400):24.5t
7号車(デハ50300):25.7t
8号車(デハ50200):25.7t
9号車(デハ50100):24.7t
10号車(デハ50000):29.7t

結果から導き出されたのは、重さについては対称になっていないということでした。
5両ずつの組み合わせがあるわけですが、僅かにどれも異なるという結果となっています。

この結果を生んでいるのは、主に搭載している機器の違いであると考えられます。
主要な機器という面では、5号車にCPがあり、6号車にはないというのが分かりやすいですが、それ以外にも号車ごとの搭載機器には若干の違いがあることが分かりました。

細かい機器の名称を羅列することは控えますが、足回りという面で見た場合には、さすがに前後シンメトリーにはなっていないということになります。
このようなことを踏まえると、床下にカバーが設けられているというのは、結果的に機器の差を隠すという効果も生んでいたことになるようです。

おわりに

見た目の面では前後シンメトリーを構成しつつも、実際には搭載機器に違いがみられたVSE。
当たり前といえばそうですが、それを感じさせないぐらいの仕上がりになっているのは、驚異的な設計であったといえそうですね。