時代の変化に合わせ、鉄道車両の車内は様々な進化をとげてきました。
現代においては、車内に液晶画面があることは当たり前となりつつあり、防犯カメラの設置も進んでいます。

昔の車両と比べて大きく変化したものとして、今回は座席の端に設置される袖仕切りに焦点を当てることにしました。
小田急の通勤型車両において、車内の袖仕切りはどのように変化してきたのでしょうか。

金属パイプだけで構成された袖仕切り

現在は8000形だけでしか見られなくなりましたが、一昔前の袖仕切りといえば、金属のパイプだけで構成されたものが主流でした。
小田急が開業時に導入した車両等では、木製の袖仕切りが用いられていますが、戦後の主流は金属パイプとなっていきます。

20251013_02
写真提供:小田急指令掛川

利用者が一気に増加していく時代、大量増備となった2400形の車内です。
これ以前に造られた車両でも採用された形態で、座席の端にシンプルな形状の金属パイプが設けられています。

形状は形式によって異なりますが、上部とは繋がっていないことが特徴で、ドアの脇に立って寄りかかることは想定されていなかったのでしょう。
混雑時には向いていない形状であることから、通勤ラッシュの激化に合わせてか、採用されなくなっていきました。

20200606_08

現在は8000形でのみ見られる袖仕切りは、2600形から採用されました。
網棚と繋がるように変化したほか、ドアの脇に立つ乗客と、座席の乗客が干渉しないようになっています。

混雑の激化に合わせて、乗客を支える役目が袖仕切りには与えられたといえるでしょう。
つかまることも可能であり、詰め込み用の設備として進化しました。

大型化してきた袖仕切り

支えるといった要素が強かったのか、質素な金属パイプだけで構成された袖仕切りでしたが、居住性の面では最低限の造りでした。
社会が成熟してきたこともあってか、1000形からは小田急の袖仕切りも変化が続き、今日まで進化しています。

20190309_04

8000形の最終増備段階で暖色系となった車内ですが、1000形では袖仕切りが変化しました。
変化というより、これを袖仕切りと表現したほうがよさそうで、着席時の快適性は格段に上がったように思います。

このタイプは続いて2000形にも採用され、一時期の標準形態となりました。
2000形は後に交換を行っており、1000形もリニューアルの際に一新したため、既に過去帳入りしています。

20220226_02

写真はリニューアルされた1000形の車内ですが、3000形からはこのようなタイプが採用されるようになりました。
形状は形式によって差がありますが、窓の半分ぐらいの高さまである袖仕切りで、乗客同士の干渉をより一層防止できる造りとなっています。

新造時には4000形まで採用されており、現代においては最もよく見られるタイプです。
リニューアル等で交換していることから、乗客の評判もよいのでしょう。

20231111_03

最新型である5000形においては、強化ガラスを用いた袖仕切りが採用されました。
袖仕切りが大型化されてきたことで、車内を狭く感じるといった弊害が生じていましたが、金属パイプで構成されていた頃のような開放感が戻ってきたように思います。



写真を提供いただいた小田急指令掛川様は、数々の貴重な映像も撮影されています。
YouTubeにて公開中ですので、よろしければそちらもご覧下さい。

おわりに

時代に合わせて進化を続け、強化ガラスさえ使われるようになった袖仕切り。
しばらくは5000形の増備が続くと思われますが、この先の袖仕切りはどんな進化をしていくのでしょうか。