全国的な小田急の知名度向上に寄与し、ブランドとしてもすっかり定着したロマンスカー。
箱根への観光輸送を起源としながらも、現代では日常の足として沿線住民に親しまれるようになりました。

今後登場する新型車両への期待が膨らむ今日この頃ですが、そもそもロマンスカーとはどういった存在なのか、少し考えてみることにしました。

ロマンスカーが持つ二面性

1949年に登場した1910形から、小田急におけるロマンスカーの歴史が始まりました。
始まったとはいっても、そのような定義付けが行われるようになったのは、後天的な要素もあると思っており、前史的な存在は戦前までさかのぼります。

ロマンスカーの方向性を決定付けた存在といえば、1957年に登場した3000形(SE)ですが、続いて登場した3100形(NSE)によって、前面展望席を備える車両というイメージが築かれました。
その後は前面展望席をやめたり、復活させたりしつつ現代に至りますが、今もロマンスカーを象徴する設備といえるでしょう。

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ロマンスカーの絶対的な構造だった前面展望席ですが、今はどちらかといえば限定的なものとなっています。
現役ロマンスカーを代表する車両は、方針を大きく転換した30000形(EXEとEXEα)と60000形(MSE)であり、圧倒的な多数派を占めています。

これらの2形式は、ロマンスカーが持つ二面性を表す存在であるともいえ、観光輸送と日常輸送の両立を目指すべく、30000形で方針転換が図られました。
一方で、30000形は少々やりすぎてしまった面もあったことから、60000形ではより一層の両立を目指したようにも感じられ、愛称どおりのマルチに使える車両へと仕上げられています。

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圧倒的主力ともいえる両形式は、二面性を持つロマンスカーという存在において、一つの到達点であったといえるでしょう。
2018年には前面展望席を備える70000形(GSE)がデビューしていますが、分割併合をしない仕様としつつも、日常利用も想定した設計とされており、ロマンスカーが持つ二面性に上手く対応しました。

ロマンスカーにおける多くの二面性

ロマンスカーが二面性を持つようになったことから、30000形が生まれたのかというと、決してそうではありません。
1960年代の後半には、通勤や通学での利用がされるようになってきており、二面性は早い段階から生まれていたことになります。

二面性が生まれてから30年ほどを経て、30000形では車両の仕様という面でそれを具現化しましたが、大きな方針転換には痛みも伴いました。
しかし、日常利用という観点では評価が高いことも事実で、果たした功績はあまりにも大きいのです。

現代においては、二面性という部分も多様化しているように思います。
観光か日常かという単純な構図ではなくなり、停車駅等にもそれらが反映されてきました。

昔からある箱根か江ノ島かに加え、車両が長いのか短いのかといったように、分割併合は需要に合わせて上手く活用されています。
日常利用についても、深掘りすればラッシュ時か日中かという違いがあり、平日と土休日でも全く異なる状況です。
さらにいえば、停車駅の面では特急か快速急行かという選択もあり、ロマンスカーの多様化はどこまで進んでいくのでしょうか。

おわりに

古くから二面性を持つ特急として存在しつつ、時代に合わせて変化を続けてきたロマンスカー。
このような難しい要素に対して、新型車両はどのような回答を用意していくのでしょうね。