小田急の一般列車における最上位種別として、2004年のダイヤ改正で登場した快速急行。
運行本数や範囲を拡大しつつ、今日においては優等列車の中心種別となりました。

20251108_01

そんな快速急行ですが、運行本数が増えたことにより、特急との関係性では難しい立ち位置を迫られているようにも思います。

様々な差が縮まる特急と快速急行

小田急で最も早く終点に到着する列車といえば、ロマンスカーとして知られる特急がそれにあたります。
しかし、世間一般での特急のイメージと、小田急の実情は少々異なっており、乗車する区間が長くなければ、快速急行を抜かすことはありません。

一般列車の最上位種別が急行だった頃、特急の速達性は今よりも優位な状態にありました。
急行は途中駅での分割併合もあり、所要時間もその分長くなりますが、当時の特急は停車駅が少なめで、速達性を求めての利用は今よりも多かったと思われます。

特急と急行の間に入る列車種別として、2002年に湘南急行、2004年に後身の快速急行が登場しましたが、運行本数が今の半分程度であったことから、特急とはある程度棲み分けができている状態でした。
その前提を大きく崩したのが、2016年に快速急行を中心としたダイヤが組まれるようになったことで、多くの場合で快速急行が最も早く目的地に到達する列車となります。

少し時間を戻すと、快速急行が通過する駅に特急が停車するような逆転現象もあり、成城学園前や向ヶ丘遊園がそれにあたります。
前者は現在も続いており、特急と快速急行が必ずしも上下関係に限定されず、着席需要にも向いていることを表す事例です。

ダイヤの設定上も、小田原方面は特急と快速急行が続行しており、途中駅での追い抜きを基本的には行わないようになっています。
小田原線を乗り通した場合、所要時間には15分ほどの差が出てきますが、途中駅で乗降する場合はここまでの差にはなりません。
江ノ島線での利用においては、全く差がないといってもよく、特急のほうが遅いケースもある状況です。

快速急行の利便性を高めにくい事情

快速急行が登場して以降、新宿寄りの区間を中心として、速達性という面での利便性は大きく向上しました。
長きに渡って、急行が一般列車での最上位種別だったわけですが、途中駅での分割併合によるタイムロスや、常に混んでいるという利用状況もあり、特急の優位性は今以上にあったといえるでしょう。

複々線を最大限に活用しつつ、快速急行は利便性向上に寄与することとなりましたが、小田急としてはジレンマもあるように思います。
快速急行を快適にするほど、特急の優位性が下がってしまうという面があり、それは特急料金収入の低下に直結してしまうのです。
ラッシュ時においては、特急の圧倒的優位性が維持されていますが、空いている日中はなかなかそうもいかないのが苦しいところでしょう。

このジレンマをさらにややこしくするのが、快速急行を不便にしすぎてしまうと、郊外の発展を阻害してしまう点です。
現代においては、以前よりも競合する路線が増えていることもあり、快速急行による速達性をなくすわけにはいきません。
一方で、競合対策で快速急行の利便性を高めるほど、特急の利用機会を奪うことにも繋がるため、バランスが難しいところともいえます。

このような背景を踏まえた場合、特急には着席需要以外の魅力が必要になるようにも思います。
費用対効果の面で簡単ではなさそうですが、着席需要に応えるといった面だけではなく、さらに何らかの付加価値があるということが、今後はより大切になるのではないでしょうか。

おわりに

ロマンスカーが多く走っていることで、難しい立ち位置を迫られている快速急行。
利便性や快適性を向上させるほど、それは特急の利用率が下がることを意味するため、バランスをどのあたりにするべきなのかは悩ましいところですね。