時代に合わせた車両を次々に生み出し、今日まで進化を続けてきた小田急のロマンスカー。
スタイルには時期によって傾向がありますが、どの車両も上手にまとめられてきました。

新しいロマンスカーが登場する前には、実物大のモックアップが製作されたという歴史がありますが、なぜそのようになったのでしょうか。

ロマンスカーとモックアップ

小田急がロマンスカーの車両を開発する際は、モックアップを製作するという流れがありました。
モックアップは様々な意味を持ちますが、小田急の場合は実物大の模型であり、それなりのコストをかけて製作されていたようです。

ロマンスカーでモックアップが製作されたのは、3000形(SE)の開発時が最初かと思われます。
断定しない表現にしているのは、それ以前に製作していないことを証明できないためですが、車両の特性的にもSEが最初と考えてよいでしょう。

モックアップの製作を提唱したのは、SEの開発に関わっていた山本利三郎氏でした。
コストがかかることもあり、社内では反対意見もあったそうですが、実際に見た場合のイメージがどうなるか等を主張し、実現へと至っています。

運転室に関しても、モックアップで広さや機器の配置が検討され、運転する側の意見が取り入れられました。
手直しを加えつつ検討が重ねられ、SEの形状は決まっていくこととなります。
この際の成功体験があったからか、その後のロマンスカーでも製作が続けられました。

モックアップが製作された形式

ロマンスカーの開発時、モックアップが製作された形式についても確認してみたいと思います。
既に紹介したSEについては1次と2次があり、入念な検討が重ねられたようです。

続く3100形(NSE)についても、実物大のモックアップが製作されました。
見かける写真では前照灯部分までは再現されていませんが、検討の過程においてはどんな姿だったのでしょうか。

NSEから年数が経過していましたが、7000形(LSE)と10000形(HiSE)についても、引き続きモックアップが製作されています。
技術が向上したのか、さらに精巧なものとなっている印象です。

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写真提供:小田急指令掛川

NSEとLSEについては、向ヶ丘遊園にモックアップが展示され、開発完了後も活用されていました。
カラーリングが不思議なものとなっていますが、実際のものに近い姿の写真も残されており、展示に際して変更された可能性もあります。

モックアップの記録を見かけなくなるのは、HiSEに続いて登場した20000形(RSE)の時からです。
HiSEとRSEの間は3年ほどしかなく、そこまでの時間が確保できなかったのでしょうか。
30000形(EXE)についても製作はなさそうですが、廃車となる2600形を使用して、カラーリングのイメージを確認していました。

50000形(VSE)も見かけませんが、60000形(MSE)については、「小田急ロマンスBAR in 大手町」というイベントが実施され、モックアップのような精巧さの車体が置かれました。
これがモックアップの流用なのか、新たに製作されたものなのか、そのあたりはよく分かりません。

70000形(GSE)もそれらしい記録がありませんが、運転台のモックアップが製作されました。
こちらもカラーリングの確認は行われたようですが、公開されているものはなかったように思います。
RSE以降の車両についても、非公開で製作されている可能性を否定はできませんが、技術の進歩によってそこまでする必要がなくなったのかもしれませんね。



写真を提供いただいた小田急指令掛川様は、数々の貴重な映像も撮影されています。
YouTubeにて公開中ですので、よろしければそちらもご覧下さい。

おわりに

ロマンスカーの開発において、かつては必ず製作されていたモックアップ。
開発完了後に活用できそうなことから、意外と現代に製作してみるのもありなのかもしれません。