起点の新宿駅から2.7kmの位置にあり、急カーブ上にホームを設けていることが特徴の代々木八幡駅。
小田急線上で最も急なカーブで、電車は45km/hの速度制限を受けて通過していきます。

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高速志向の路線として開業した小田急において、それに反するような急カーブということになりますが、なぜこのような線形になったのでしょうか。

全ての電車が低速通過となる代々木八幡駅

新宿駅を出た電車は、南新宿駅付近からスピードを上げ、軽快に進み始めます。
しかし、参宮橋駅を過ぎて少しすると、どの電車もスピードを落とし始め、代々木八幡駅の急カーブへと入っていきます。

代々木八幡駅付近は、下り線が半径214m、上り線が半径203mの急カーブとなっており、これは小田急線内でもっともきついものです。
速度制限は45km/hとされ、電車は車輪を軋ませつつ通過するか、駅の停車に向けて減速していくこととなります。

営団地下鉄(現在の東京メトロ)の千代田線が開業するにあたり、上下線間が開いた線形に変化していますが、急カーブ自体は開業時から存在していました。
かつての社名が小田原急行鉄道だったことからも分かるとおり、小田急は高速志向の鉄道であり、駅の前後にカーブができる島式ホームさえ避けていますが、この急カーブを採用したことになります。

代々木八幡駅付近の急カーブが生まれた背景

高速志向の路線とはいっても、小田急には比較的多くのカーブがあります。
しかし、代々木八幡駅付近ほどの急カーブはなく、線内でも異色の存在といえるでしょう。

周辺の線形を地図で見てみると、南新宿駅付近から線路は南寄りにゆるく曲がっており、代々木八幡駅付近で西へと進路を変えます。
代々木上原駅付近で再び南寄りに曲がっているため、全体的にカーブが多い区間となりました。

地図を広げてみると、南新宿駅から代々木上原駅にかけては、ほぼ直線で線路が敷けそうな位置関係であることが分かります。
そうはせずに急カーブが生まれていることになりますが、それには駅名の由来ともなった代々木八幡宮が関係していました。

代々木八幡宮は周辺より高い位置にあり、これは昔から変わっていません。
標高は代々木八幡駅付近と20mほど違うようで、比較的大きな差があることが分かります。

急カーブはこれを避けるために生まれており、高台となっている部分に沿うように線路が敷かれました。
トンネルを掘るといったことはせずに、地形に沿って線路を敷設したことになりますが、短期間での建設を実現するためには、やむを得ない選択だったのかもしれません。

おわりに

代々木八幡宮がある高台を避けるため、小田急線上で最も急なカーブを有する駅となった代々木八幡駅。
付近の線路を地下化するようなことがない限り、この急カーブは存在し続けることになるのでしょう。